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36.レベル上げ

草原をかき分けながら近づいてくる赤毛の赤毛のイノシシの魔物。


半裸騎士山本は、剣を抜き、背負っていた小型の円形の盾をもう一方の手で構えると、イノシシに向かってゆっくりと近づき始めた。


すると、セーラー服を着たおじさんが後ろから小走りで駆け寄っていき声をかけた。

「ちょっと待ってくだされ。私が補助魔法を使います」


セーラー服おじさんことキャナーメちゃんはそういうとステッキを掲げて魔法を発動させた。

「セーラーエンジェルライト!」


呪文とともに、ピンクのハート形の光がステッキからあふれ、山本の体を包んだ。


「おおっ!なんだそれ!」

初めて見るなぞの魔法にひろとがびっくりして叫ぶ。


「ステータスを上昇させたり特殊効果を付与する補助魔法、通称バフと呼ばれるものです」

キャナーメちゃんが説明した。


「ありがとう、キャナーメちゃん」

山本は、お礼を言うとそのままイノシシの魔物に向けて近づいていく。


先に動いたのは、魔物の方だった。

ブルッという鳴き声を上げて、その直後、一直線に突進してきた。

山本は、盾を前に剣を後ろの態勢で、盾を斜めに構えて、迎え撃つ。


「ふんっ!!」

イノシシの魔物が盾にぶつかり、ドンっという衝撃音が鳴り響く。

盾を斜めにして衝撃を受け流しながら、そのまま流れるような動作で剣で前脚を横薙ぎに切り裂いた。


ギャアアアアア

イノシシの魔物の叫び声が響き渡る中、山本は一気に間合いを詰め、イノシシの目の前まで近づき、剣を上段に振り上げた。


「パワーブレード!」

スキルの名前を叫ぶと、剣が一瞬きらりと光を放つ。

山本は上段から袈裟斬りに剣を放つと、動きの鈍ったイノシシの頭部に直撃した。


とどめの一撃を、脳天に浴びせられ魔物は、数歩よろめきながら歩いた後、体をびくびくと痙攣させて倒れた。


「ふう、今のは騎士職の基本スキルである『パワーブレード』。剣による攻撃のスピードと威力を強化してくれる技だよ。自分も騎士職の基本スキルは、使えるけど、ステータスアップによる威力の上昇や固有スキルが使えないのは田中さんと一緒だよ」


ゲーム知識のないひろとに気を使ったのだろう。

山本は、魔物を倒すと先ほど使ったスキルの説明をしてくれた。


「なるほどな。解説ありがとう」

ひろとは、ふんふんと頷きながらお礼を言った。


「ちなみに私は、僧侶職の基本スキルである回復魔法や補助魔法と、セーラー僧侶の固有スキルが使えますぞ。ちなみにさっき使ったのは固有スキルの一つ、特殊補助魔法の『セーラーエンジェルライト』で攻撃力アップ効果と自動回復効果を付与できる魔法です」


「へえ!自動回復とはそりゃすごい」

ひろとは、初めて聞く用語に感心しきりだった。


「さてと、じゃあ次はおれだな!」

意気揚々と剣を抜き、天へ掲げながら、ひろとは叫んだ。


「次の獲物はっと・・・・、いた!!」

前方50mくらいに、ピンクのウサギ顔の魔物が見えてきた。

腕が4本あり、剣を4本持っている出で立ちをしている。


「『オチ・ウデオオイ』ですな」

「強いの?」

キャナーメちゃんの解説に、ひろとが質問する。


「通常の白いウサギ顔の魔物である『オチ』のパワーアップバージョンの一つですね。パワーアップ版の

一種であるピンクのウサギ顔の『オチ・チョットツヨイ』をさらに一段階強くした感じと考えてください。では、一応バフを掛けておきますね。『セーラーエンジェルライト!』」


「了解。サンキューキャナーメちゃん!」

ひろとは、礼を言うと、4本腕のウサギ顔に向けて近づいていった。


『オチ・ウデオオイ』は4本の剣をブンブンと振り回しながら、こちらへじりじりと近づいてくる。


「よし!いくぞ!『空飛ぶ(フライング)粗珍(サーティーン)!!』」

ひろとは、ウサギ顔に20m程度まで近づいたところで、スキルを発動した。


股間が分離し、ヘリコプターのように飛び立っていく。

ひろとは、そのまま小走りにウサギ顔に向かっていき、股間のドローンは右側の上空から迂回するようにウサギ顔に近づいていった。


股間のドローンを側方から近づけていくと、ウサギ顔の意識が完全に股間の方に持っていかれる。

ひろとは、その隙を逃さず、全力で走りだし剣で切りかかった。


横っ腹をズバっと切り裂くが、深くは入らなかったようで、甲高い叫び声をあげながらウサギ顔が剣で斬りこんできた。


「クソっ!浅かったか!?」

ひろとは、剣と盾で攻撃を防ぎながらバックステップで距離を取りつつ、再度股間のドローンをウサギ顔の直情に近づける。


ウサギ顔が再度、股間に気を取られ上を向いた瞬間、低い体勢で走り込み剣をまっすぐに突き出した。


ギャアアアア!!

ウサギ顔の心臓付近に剣が深く刺さり、断末魔の悲鳴をあげながら崩れ落ちた。

ひろとが剣を抜くと、そのままウサギ顔は前のめりに倒れてしばらくするとふっと消えてしまった。


「なにそのスキル?」「え?え?なにそれ?どういうことなの?」「始めて見ましたぞ!そんな戦い方!」

戦いを静観していた3人が興奮した面持ちで口々に感嘆の言葉を口にしながら、駆け寄ってきた。


「このドローンみたいなのは何なの?」

魔法熟女田中が目の前に近づいてきた謎の物体を見つめながら無邪気な笑顔で尋ねてきた。


「・・・ち〇こ」

ひろとは、笑顔で答える。


「ん?」


「ちん〇」


「え?」


「だから、〇んこ」

ひろとは、異世界に来てから一番のさわやかな笑顔で答えた。


「・・・そっかー、ち〇こなんだぁー笑」

田中は、笑顔でそう答えると、ステッキを握りしめた。


プルルルルっと音をたてながら、股間がゆっくりと田中の目の前でホバリングしている。

田中は、笑顔のままステッキを大上段に構え、全力で振り下ろした。


ぱちぃーーーん!!

風船が破裂するような音を響かせながら、空飛ぶ股間は10mほど吹っ飛んで地面を転がっていった。


「ああああああああああ!」

ひろとは、強烈な衝撃が、体の中心を駆け巡った直後、のけぞるようにしてバタンと倒れた。


「おい!大丈夫か?」

「登戸ちゃん!?ダメだ!意識がない!」

男二人が倒れたひろとに駆け寄っていく。


「とんでもねぇ、変態がいたもんだな!おい!人の目の前に汚物ぶら下げてんじゃねえぞコラ!」

田中が激怒して叫んでいる。


ひろとはぴくぴくと痙攣しながら白目をむいて泡を吹きながら失神していた。

異世界に来て初めてのパーティでの冒険は、いきなり波乱含みの展開になってしまったようだ。

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