33.おてぃんてぃんぴよぴよおんらいん
いきなり、扉の向こうに行ったら、おっさん2人とおば・・・お姉さんが1人現れた。
しかも、全員おかしな格好のコスプレをしており、出会って早々いきなり変態仮装パーティが繰り広げられているというこの世の地獄のような状態・・・
何を言ってるのか、わからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった・・・頭がどうにかなりそうだったぜ・・
おっさん2人のうち、1人はセーラ服を着ている。
30歳くらいの横幅の広いおっさんで、ものすごいビジュアルになっている。
なお、手には魔法の杖のようなものを持っており、背中から天使の羽が生えているという気合いの入れようだ。
もう一人は、全身鎧に包まれた騎士の姿をしている長身の男。
盾を背中に背負い、腰に大ぶりな剣を携えている。
一方、お姉さんは、紺色のローブとステッキを持っていて、典型的な魔法使い然とした服装。
セーラー服のおっさん以外の2人は西洋風のRPGゲームに出てくるようなコスチュームといえばわかりやすいだろうか。
しばらく、皆で無言で見つめ合っていると女性が口を開いた。
「えっ?『スク水剣士』?マジで?」
口を開いたと思ったら、お姉さんが自分に向かって、突如おかしなことを言い始めた。
「そういうあなたは『魔法熟女』ですね」
騎士男が続ける。
「で、あなたは『半裸騎士』ですな!」
セーラー服おじさんが騎士男に楽しそうに応える。
「・・・は???」
ひろとは、突如3人がおかしなことを言い始めたことに困惑して素っ頓狂な声をあげた。
「ん?」
魔法熟女がひろとに向かって怪訝な顔を向ける。
「・・・『スク水剣士』・・・って何?」
「え???」
3人は、全く予想もしていなかったような様子で揃って疑問符を浮かべた。
「・・・いや・・・なんでこんな異常な恰好しているおっさんが2人もいる状況で、普通に会話してるん?自分たち・・。」
ひろとは、思っていることをストレートに疑問としてぶつけてみた。
「ん?、おてぃんてぃんぴよぴよオンラインの『スク水剣士』でしょ?」
騎士男が少し驚いた風に答えた。
「おてぃんてぃん・・・なんて?」
ひろとは、次々に出てくる謎のパワーワードに完全に混乱してつぶやいた。
「え?もしかして、貴公おてぃんてぃんぴよぴよオンラインを知らないんでござるか?」
セーラ服おじさんが驚いた様子で叫んだ。
「え?嘘だろ?知らないのになんでこんなところにいるの?」
騎士男が不思議そうに答えた。
「・・・・ちょっとよく分からないから一から説明してくんない?」
話が嚙み合わないため、3人から話を聞くことにする。
「・・・えっと、ここは『おてぃんてぃんぴよぴよオンライン』っていうゲームの世界だろ?」
騎士男が答えると、残りの2人が一様にうんうんと頷く。
「私は、酒飲んでて酔っぱらって、倒れちゃって気が付いたらここに来てたんだけど、まさか『おちぴよ』の世界に転生するとは思わなかった・・・」
「まったくですな、わたしも『おちぴよ』の世界でまさか自ら『セーラー僧侶』になるとはおもっておりませんでしたぞ!」
女性が語りだすと、セーラー服のおっさんも楽しそうに、同意する。
「・・・おちぴよ?・・・ゲーム?・・・」
ひろとは、予想外の展開に、滝のような汗を流しながら、これ以上ないくらい動揺してみせた。
「これゲームの世界なん?・・・っていうか頭おかしくないこれ?・・・なんでスクール水着着てひどい目に合わないといかんの?・・・やばいやんこのゲーム・・・」
あまりに動揺しすぎて涙まで出てきたひろとは、脚をガクガクさせながら一人泣き出した。
「まあ、ゲームでプレイする分には良いけど、自分でこんなコスプレすると結構きっついなぁとは思うよね・・・泣かないでよ・・・」
騎士男が慰めようとするが、逆に感極まったひろとは一層声をあげて泣きだした。
静かな室内に、しばらくひろとの嗚咽だけが響き渡る。
他の3人はどうしたものかと、考えあぐねている様子だ。
「んーと、初対面なんで自己紹介しない?」
気まずい沈黙をどうにかしようと、魔法熟女のお姉さんが察してくれて自己紹介をすることになった。。
「そうですな、では私から自己紹介しましょう。わたしはキャナーメと申します。アラサーの会社員でした。見てのとおり『セーラー僧侶』をやっております。後方支援なら任せてくだされ!」
「ちなみに、私はちゃんこ鍋を食べている時に、夢中で食べていてカセットコンロの火が自分に燃え移って、家ごと燃えて死んでしまいました、あっははははは!」
セーラ服おじさんは、ニコニコ微笑みながら、自己紹介をした。おだやかで良い人だな。恰好はかなりあれだけど。
「次は私ね。なまえは田中。元事務職のOL。ジョブは魔法熟女よ」
普通のアラサーの女性。
「じゃあ次は僕ね。僕は山本。アラサーの会社員で半裸騎士です。通勤中に居眠り運転で電柱にぶつかってここに来たよ」
騎士男が答えた。
自己紹介を済ませた3人がいまだに嗚咽を漏らしているスク水姿のおじさんに一斉に目を向けた。
ひろとは、目を擦り、呼吸を整えて3人に向き直って自己紹介を始めた。
「・・・俺はひろと。アラサーの会社員で、トラックの運転中に股間にタバコの火が入って、慌ててる間に正面衝突でお陀仏でしたわ。一応・・・『スク水剣士』ってことになるのかな?知らない事ばかりなんで色々教えていただきたいですわ。よろしく」
新しい試練を受けるため、新たなエリアに足を踏み入れたと思ったら、自分がよく分からんゲームの世界に転生してしまったという衝撃の事実を突きつけられてしまった。俺はこれからどうなるんだろうか?
まあ、絶対録でもないことになるんだろうけど・・・




