29.天空の宝物
自分のイチモツが、空を飛んでいる異常な状況にぼーっとしていると、ウサギ顔の巨人が雄たけびを上げ始めた。
魔法弾を打つ準備動作に入ったようだ。
薄暗い室内に、ウサギ顔のけたたましい叫び声が不気味に響いている。
杖をイチモツに向けて魔力を高めている。
明らかにイチモツを狙っており、ひろとを完全に無視している。
今までも敵の攻撃がイチモツに集中していたが、股間に敵の注意を引き付ける効果があるからだというのが股間が分離することで良くわかる。
「今度ムスコに魔法が直撃したら、さすがにやばいぞ!」
すでに体はボロボロで、まともに動くこともできない状況だ。
ひろとは、次の攻撃には耐えられない予感がしていた。
ウサギ顔の巨人が、両の手に掲げた杖に魔法力を集中する。
「やばい、やばい!もう魔法来る!どうする!?」
焦りから思考がまとまらず、どうすれば良いかわからない。
ギャアアアアアアアア!
雄たけびとともに、炎と氷の魔法弾が3連続で射出された。
「もうだめだあああああ!!逃げてくれ!おれのティンコ!!」
ひろとは、イチモツに向かって叫ぶ。
ぷるるるるるるる!
かわいらしい音とともにイチモツの回転スピードが上がり、魔法弾を間一髪で回避した。
「えっ??あれ??・・動いた!!」
イチモツが動き出したことに、ひろとは驚き、一つの確信を得た。
「これはっ・・・俺が念じるとティンコを操作できるのか!」
試しに、頭の中で動けと念じてみる。
左に動くイメージするとイチモツが左に向かって飛行した。
「なるほど!これなら魔法弾を引き付けて回避できるぞ!」
ひろとは、イチモツを次の魔法弾の装填の準備を始めたウサギ顔の巨人の周りで旋回させた。
ぷるるるるるとかわいらしい旋回音を発しながら、汚い絵面の物体が空を飛んでいる。
ウサギ顔の巨人は、イチモツに気を取られ、イチモツの動きに合わせてぐるぐる回り始めた。
ひろとへの注意を完全に無くしている状況だ。
「・・今のうちに回復だ!」
ひろとは、水筒を取り出し、聖水を飲む。
自分の体と空中の股間が淡い光に包まれ、傷が癒されていく。
見えない何かで体と股間がつながっており、股間も同時に回復するようだ。
水筒の中の水を全て飲んだが、完全に回復はしなかった。
まだ、体のあちこちに痛みが残っている。
そういえば、だんだんと、一回に消費する水の量が増えている。
ダメージ量が多いほど、水の消費量が多いみたいだ。
レベルアップで体力が増えていて、それに伴いダメージ量が増加しているのだろう。
しかし、これだけ回復すれば十分体は動く。
「よし!反撃開始といくか!ティンコにウサギ野郎が気を取られている間に俺が攻撃する!」
ひろとは、魔法を射出しようとしているウサギ顔の巨人の背後に回り込み、そぉーっと近づいていく。
ウサギ顔の巨人が、奇声とともに魔法弾を射出すると同時に、イチモツを大きく旋回させ魔法弾を回避する。
それと同時に、背後からサーベルで足を斬りつけた。
ギャアアアアアアアアア!
ウサギ顔の巨人がひろとに気付き、振り返って杖を振り回した。
ゴッ!!
ぶうううんっと風を切る音がし、みぞおちに杖が直撃した。
「オゴッ!!」
強烈な一撃に膝をつき、そのまま崩れ落ちた。
全身から嫌な汗が吹き出て、息が止まる。
ウサギ顔の巨人が、とどめとばかりに杖を振り上げた。
「頼む!ティンコ!」
ひろとは、イチモツをウサギ顔の巨人の顔の前で旋回させる。
ウサギ顔の巨人は、目の前にひろとがいるにも関わらずイチモツに気を取られあらぬ方向を向いた。
「おらああああ!」
ひろとは、激痛に耐えながら、跳躍力アップの効果によるステップを踏み、一気にウサギ顔の背後に接近しながら尻にサーベルを突き刺した。
オンギャアアアア!!
ウサギ顔の巨人が、ものすごい顔をしながら尻を押さえて悶える。
悶えながら、ひろとをものすごい形相で睨みつけ、両手の杖をめちゃくちゃに地面に叩きつけた。
「ひいいっ!」
スク水を着たおっさんが、なさけない声をあげながら必死に転がって杖の打撃を回避し、這いずって距離を取る。
「いけっ!ティンコ!」
体を床に打ちつけ、痛みに顔を歪めながら立ち上がり、ティンコをウサギ顔の巨人の前に持ってくる。
ウサギ顔は、イチモツが視界に入った瞬間、ひろとのことを完全に認識していないかのようにイチモツに気を取られた。
「はあはあ・・自分で攻撃しながら、ティンコを操作するのはかなり難しいぞ・・・」
ひろとが攻撃すると、敵の注意が自分に向いてしまう、その瞬間にイチモツを操作し敵の注意をそらす必要があるが、2つのことを並行して行う必要があり、かなりの集中を要する。
「しかし、これならこいつを倒せる!名付けて『天空の宝物』だ!」
ひろとは、空飛ぶ股間に謎のセンスの技名を名付け、不敵な笑みを浮かべながら、サーベルを掲げたのだった。




