27.とれちゃったー!
巨大なウサギ顔の魔法使いがゆっくりとした動作でこちらを一瞥した。
全長3m程度のピンクのウサギ顔の巨人が黒いローブを着て、赤と青の宝石のはまった杖を両手に持って掲げている。
ひろとは、サーベルを抜き放ち、切っ先を相手に向けながら構えた。
スクール水着を着てパンダのリュックを背負い、うさ耳のカチューシャをつけたおじさんが、まじめな顔で右手でサーベルを構えている。
額から汗がしたたり落ち、スク水を伝って地面にぽとりと落ちる。
パンダのリュックの肩紐のスイッチを左手で押した。
パンダのリュックは跳躍力が上がる機能があり、一時的に高速で跳躍が可能となる。
「いくぞ、モンスター!」
キッと巨人を睨みつけ、どっちがモンスターなのかわかったものじゃない格好のおじさんが叫び、グッと脚に力を込めた。
ギエエエエエエエエエ!!
ウサギ顔の巨人が突如叫びだし、両手の杖の先の宝石が光始めた。
「くらええ!」
ひろとは、正面から地面に沿って平行にステップし、一気に距離を詰める。
バシュッツ!!
接敵すると同時に、サーベルで斬りつけそのまま脇を通りすぎる。
振り返りダメージを確認するが、有効なダメージを与えたのかどうかわからなかった。
ローブを切り裂いた感触はあったが、本体を斬ることができていないようだった。
「クソッ!浅いか!」
舌打ちして再度攻撃をしようとサーベルを構え直す。
シネエエエエエエエ!
ウサギ顔の巨人が、両手の杖を前方に掲げ、炎と氷の魔法を同時に放った。
炎の玉と冷気の玉が一直線に向かってくる。
「!!」
ひろとは、横っ飛びにジャンプしながら氷魔法を避けると、冷気の玉が地面に着弾した。
しかし、回避ジャンプからの着地のタイミングで動きが止まった瞬間、炎の魔法が追尾してきて直撃した。もろちん・・・もちろん股間に。
「ああああああああ!?」
先ほどの魔法と比べてもう一段威力の高い火炎が燃え盛った。
「あっつ!あっつ!」
スク水に魔法の威力を抑える効果があるようなのだが、それでもかなりの高温の炎により先ほどとは比べ物にならないダメージを受けてしまった。
「やばいっ!あついっ!あついっ!」
ひろとは、スク水の中に防御用に仕込んでおいた、鉄製の食器を取り出して足元に投げ捨てた。
鉄製の食器が熱を持ち、密着した股間が大変なことになってしまった。
シネエエエエエエ!
ウサギ顔の巨人が立て続けに、魔法を放った。
「ひいっ!?」
必死に転がりながら回避を試み、炎の玉を何とか回避することができた。
だが、回避した先に氷の魔法が回り込んできて、股間に直撃した。
「おおおおおおおおっ!!」
着弾と同時にものすごい勢いで、パキパキと音をたてながら、股間が凍り付く。
氷の魔法も威力が段違いだ。
オラアアアアアア!
間髪入れずに、再度炎と氷の魔法を放ってくる。
「やばい!!」
氷の魔法を跳躍して躱すが、バランスを崩して転倒してしまった。
起き上がろうとしたところで、炎の玉が股間に向かってきているのに気づき、咄嗟にサーベルで斬りつけた。
サーベルに炎の玉が触れた瞬間、ぼうっと炎が燃え広がるがしばらく燃えたのちにすうっと消えた。
「はあはあ、強い・・・」
連続で高威力の魔法攻撃を行い、さらに2つの魔法を同時に使用してくる。
さっさとケリをつけないと、ジリ貧になってしまう。
ころん・・・
「・・・ん?」
股間の激痛に耐え、大汗をかきながら、立ち上がろうとしたところで、地面に何かが落ちた。
「ん?なにこの黒いの?なんかみたことあるなこれ?」
地面に落ちた何かを確認すると、自分の股間が地面に転がっていた。
凍ってしまい、氷漬けになっている。
「俺のてぃんこときゃんたまじゃねえか!!」
咄嗟に、股間を手で押さえるが、あるべきものがそこにはないのに気付く。
「おいおいおい、俺の息子がっ・・・」
ひろとは、天を仰ぎ、絶叫した・・・
「とれちゃったー!」




