25.2対1
2体の魔法使いが炎と氷の魔法を同時に放った。
直径30cm程度の炎の玉と氷の結晶の集まった球体状の冷気の塊のようなものが左右から迫ってくる。
速度は、そこまで速くなく、これなら打ち出された後に対処しても回避できそうなスピードだった。
ひろとは、まず氷魔法の方へ向かって走りだした。
そのまま、氷の魔法が着弾する手前で横に体をずらし回避を試みる。
「ほっ!!」
股間を狙った氷魔法は、ひろとが寸前で回避すると、そのまま地面に激突した。
氷魔法が触れた地面がバキバキと音をたてて、急激に凍りついていく。
そして、反転して炎魔法の方へ向き直り、余裕をもって回避した。
ヒュンッ!
突如、炎魔法の向きが野球の変化球のように向きを変え、股間を狙って迫ってきた。
「え?」
ひろとは、いきなりのことにパニックになり、硬直してしまう。
ボンッ!!
股間に着弾し、炎が燃え盛る。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
スクール水着を着たおじさんが、股間から炎上して、奇声を上げている。
股間部分に着火した火を消すため、ひろとは悶えながら地面を転がった。
しばらくすると、火が消し止められたが、やけどにより股間にジンジンと痛みが走る。
これだけ派手に燃えたのに、スクール水着には傷一つついていない。
かなり魔法に強い素材のようだが、さすがに内部に熱が伝わっているのだろう。
ただ、炎のダメージをかなり軽減してくれており、この程度のダメージですんでいるのかもしれない。
魔法使いは、ひろとが悶えている間に、再度魔法力を杖に込め始め、ひろとが立ち上がったと同時に2発目を放った。
ひろとが、ダッシュして魔法の射線から大きく外れてみると、魔法は向きを変え正確にひろとに向かって飛んできた。
氷魔法を1m程度手前までひきつけて回避すると、そのままひろとが回避した方向に追尾するようにすこし進路を曲げながら、地面に落ちた。
いくら追尾するといっても、急な方向転換はできないようだ。ある程度接近した状態で回避してしまえば当たることはない。
「クソッ!!寸前で避けないと追尾されて当たっちまうってことか!!」
ひろとは、毒づきながら炎魔法が近づいてくるタイミングを慎重に見極める。
「今だ!!」
炎を避けようと、横方向に体をずらそうとした瞬間、踏み出した足が氷魔法により凍り付いた地面に乗ってしまった。
ツルっ!!
ひろとは、凍ってツルツルになった地面で、漫画でバナナの皮を踏んだキャラのように盛大に転んだ。
ボボンッ!
あおむけになったひろとに向って、炎魔法が飛んでいき、股間へ着弾、派手に炎が舞う。
「あ゛あああああ!くっそぉおお!」
ひろとは、股間が燃え盛ったまま立ち上がり、炎の魔法使いの方へ向けて泣きながらヤケクソ気味にダッシュした。
「お゛らああああ!ぐらえぇ!」
スクール水着を着たおっさんが、魔法使いに組み付いて、発情期の犬よろしく腰をカクカクと振りながら炎を擦りつけるという地獄絵図のようなビジュアルが展開される。
魔法使いのローブに火が燃え移ると、あっという間に全身に燃え広がり始めた。
ウサギ顔が苦悶の表情でのたうち回り、しばらくすると動かなくなった。
「ヨシッ!残り一体・・・」
ひろとが、残った氷の魔法使いへジリジリと間合いを詰めようとしていると、背後でキィィイインという音がした。
慌てて振り返ると、炎の魔法使いの全身が光り輝き、傷が蘇生され、ローブの損傷が修復されていった。
あっという間に炎の魔法使いは、完全に回復してしまった。
「どうなってるんだよこれは一体・・・・」




