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24.氷炎の試練

背筋をピシッと伸ばした優雅さを感じる姿勢で音もなく歩くメイドさんの5m後ろを歩いていくひろと。


メイドさんが廊下の角を右に曲がりしばらく行ったところで立ち止まった。

「着きましたよ、この扉を開けた先が『氷炎の試練』の部屋になります」


メイドさんの白くほっそりとした指が指す先には、古びた木製の扉がある。

木製の氷と炎をかたどった装飾が扉の上の壁に掲げられている。

装飾の下には、何やら文字のようなものが書いてある。読めないがおそらく『氷炎』か『氷炎の試練』と書いてあるのだろう。


「扉を開けた先で戦闘して敵を倒せばよいのか?」

ひろとは、一応試練の内容について聞いてみる。


「はい、そうですね。扉の先で戦闘を行い、ある条件を満たすと試練を通過できます」

メイドさんはひろとの方に向き直り、右手の人差し指をピンと立てて説明を始めた。


「条件って?」

「それは内緒です」

ひろとがさらに聞き出そうとすると、人差し指を口元に当てながらかわいらしい仕草でそれ以上の説明を断られた。


「それは、自分で確かめろってことね」

ひろとは、ひとり納得して扉の前まで近づいていく。


「じゃあいきますか」

首をコキコキと鳴らしながら、ドアの前まで進み、ドアノブに手を掛けた。


建付けの悪いドアを力を入れて引いて開くと、ドアの先は薄暗く良く見えない。

ひろとは、しばし迷った後、意を決して中に入っていった。


ドアの先に入った途端、目の前がぐるっと回転したような感覚に陥り、いきなり視界が暗転した。

「うわっ!!」


視界が暗転したと思った直後、今後は逆に視界が急に開けた。急な変化にバランスを崩して転びそうになりながら、周囲を見渡すひろと。


石畳の床に、同じく石造りの壁と天井でできた広い部屋だ。

グレーの色合いの石で構成された30m×30m程度の広さで、高さが5mほどの部屋・・・

窓がなく太陽の光は入ってきていないが、周囲の壁にはランプがいくつも並んでおり、十分な明るさが確保されている。


左右の壁には扉が一つずつあり、部屋の端には、剣や槍、斧といった武器が並べられている。

ぱっと見た感じ訓練場かなにかだろうかとひろとは思った。


周囲を見渡しながら、そのまま後ろを振り返ると、先ほどくぐったドアがふっと消えていくのが見えた。

「ドアが消えた・・・・後戻りはできないってことね・・・・」


ドアが消えるのを見送った後、改めて周囲をぐるっと一周見渡してみる。

「さてさて、敵さんはどこにいるんかねえ?」

ひろとが、独り言をつぶやいた直後、左右の壁に取り付けられたランプが急に強く輝き始めた。

スクール水着姿のおじさんのテカった額にランプの輝きが反射して怪しく光る。


「ん?」

左側のランプが赤色に、右側のランプが青色に輝き始め、それに続き左右の扉がギギギッと重い音をたてて、同時に開き始めた。


ドアが開くと、黒いローブを着た人が両側から同時に入ってきた。


「魔法使い?」

ひろとは、おもわずつぶやく。

RPGゲームに出てくるような典型的な魔法使いが着るような装束だ。

左側の魔法使いは、赤い宝石が先端にはめ込まれた杖を持ち、右側の方は青い宝石のついた杖を持っている。

しかし、フードに隠れた顔をよくよく見ると、憎たらしい顔をしたウサギの顔が見えた。


「今度は、魔法使いのウサギさんかよ!」

ひろとは、叫びながらサーベルを抜き放ち、すかさず戦闘態勢に入る。


ウサギ顔の魔法使いは、ケッケッケッケッと耳障りな鳴き声をあげながら、杖を前に掲げる。

きぃいいんという音とともに杖の先端の宝石が光り輝き出す。

魔力を杖に込め始めたのだろうか?


「炎と氷の魔法ってことか!上等だ、やってやろうじゃねえか!」

ひろとは、サーベルを胸の前に掲げ、ウサギ魔法使いをキッと睨みつけて啖呵を切る。


赤い宝石の杖からは、赤い光が発せられていたが、赤い光が次第に炎に変わっていき、青い宝石の杖は青い光がキラキラ光る小さな氷の粒に変わっていく。


二人のウサギ顔の魔法使いは、タイミングを完璧に合わせた動きで同時に杖を振りかぶり、炎と氷の魔法をひろとに向かって放った。

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