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22.前から後ろから

三つ首の犬のような生物が2体同時に襲い掛かってきた。

「くっそ!」

ひろとは、2体同時に相手をするのは無理と判断して、片方に自分から突っ込んでいった。


「きえええええ」

あやしい奇声をあげながら、サーベルで切りかかる。

三つ首の犬は、サーベルを後ろに下がって避け、飛びかかってきた。


シャッ!

サーベルを横薙ぎに振るったが、三つ首の犬は、ひろとの懐に潜り込むように低い体勢でサーベルを避けて、股間にかぶりついた。

「あひいいいいい!!!」

ひろとは、情けない声をあげる。


「・・・って、そんなワンパターンな攻撃効くかっての!」

ひろとは、股間に噛みつかれた状態のまま、サーベルで首の一つを刺した。


ギャアアアア

三つ首の犬はけたたましい鳴き声を上げながら、後ずさった。


「ふっ・・・こんなこともあろうかと、対策をしてきたのさっ!」

ひろとは、どや顔でスクール水着に包まれたもっこりとした股間をコンコンッと指で叩いた。

「鉄製の食器を股間の防御用に仕込んでおいたのだ!フヒヒ・・・俺天才やな❤」


胸を張りながら得意げに、犬相手に自慢していると、後ろからもう一匹の三つ首の犬がそっと近づいてきた。

そのまま、後ろから股間めがけて、つまり尻に噛みついた。


「オンギャアアアアアア!!」

奇怪な叫び声をあげて、犬を振り払おうと暴れるが、噛みついたままなかなかな離れてくれない。

そうこうしているうちに、最初の一匹が襲い掛かってきた。


「いやあああああ!!」

サーベルをぶんぶんと振って、必死に牽制するが、再度股間に噛みつかれた。

前から後ろから犬にかまれた状態で、泣きながらサーベルを振るおじさん。

防御用の食器ごと股間を嚙んだ状態で、引っ張り回され、激痛が走る。

「おごごごごお!引っ張んなコラ!」

食器ごと股間を噛まれて引っ張り回されれば、どうしようもない。

なさけない声をあげながら、犬にひきずりまわされてしまうひろと。


それでも、何回かサーベルを振り回すうちに、犬の首を切り裂くのに成功し、一匹倒すことができた。

そこから、さらにサーベルでもう一匹の尻に噛みついた犬に対して、股の下から後ろに向かって剣を刺してとどめを刺した。


「はあ・・・はあ・・・痛い・・・」

やっと倒したことに安堵しながら、城の方に向き直ると、とぼとぼと歩いて扉の前に立った。


「股間や尻にはダメージが入っとるけど、スク水は傷も入ってないな・・・」

股間を確認すると、青あざが出来ているが、切り傷などはない。しかもスク水自体は無傷だ。

強度が高く、切創を防止してくれるようだ。防御力が大幅に向上するだけはある。


ひろとは、ずきずきと痛む股間と尻に顔をしかめながら、水筒を取り出し、水を飲んだ。

スク水姿のおじさんの股間がぴかっと光って、傷が癒えていく。


城を攻略するために、準備してきた各種対策を前座で試すことができたのは大きいなと思いながら、目の前の建物に向き直る。

「ふう・・・さて、また敵が湧いてこないうちに建物の中に入りますか・・・」

扉のノブに手を掛け、扉を押す。

ぎぎぎぎっと建付けの悪そうな音を立てながらあっさりと扉が開いた。


建物内に入り、扉を閉める。

正面に広いエントランスがあり、奥に階段がある。

エントランスには、高級そうなイスとテーブルなどの調度品が並んでいる。

天井は2階と吹き抜けになっていて、階段をあがった先に、奥へと続く廊下がある。


エントランスには、特にめぼしいものはなかったため、そのまま階段を昇り始めた。

階段を昇りきって、廊下を進んでいこうとしたところで、視界がガラッと切り替わった。


「ん?あれ?・・・・は?」

気が付くといきなり、エントランスの入り口に立っていた。

「どうなってるんだ?これ?」


もう一度階段を昇って進んでみるが、おなじようにエントランスの入り口に戻ってきた。

「これは?・・・何かやらないと先に進めないってことやな・・・」


ひろとは、ため息を一つついて、エントランスをもう一度、念入りに探し始めた。

壁の棚の本を読んで見るが、謎の文字で書いてあり全く読めない。

花瓶の中を見てみるが、これといったものはない・・・・。

「なにも、ないんやけどな・・・ん?これは?」

しばらく探していると、テーブルの中央に、ベルが置いてあるのを発見した。

豪華な装飾の刺繡が入ったテーブルクロスの上に、手のひらに収まるサイズの真鍮でできたベルが鎮座している。表面にかわいらしい花の模様が入っており、一目見ただけで高級だとわかる意匠だ。


「ベルぅ?」

ひろとは、試しにベルを手に取り、チリンチリンと鳴らした。


すると、遠くでかちゃっと扉の開く音がして、スタスタスタと足音が聞こえ始めた。

「おっ、敵さん来なすったか?」

うさ耳から聞こえる足音に注意深く聞き耳を立てながら、スク水うさ耳の恰好をしたおじさんは不敵な笑みを浮かべてつぶやく。


だんだん足音が大きくなってきて、廊下の奥から人影が見えた。

「ん?・・って、なんだあれ?」

廊下の奥から、メイド服を着た給仕が上品な足取りで歩いてきた。

黒髪で顔には仮面を着けており、表情はうかがい知れない。

背筋をピンと伸ばした綺麗な姿勢で、足音をたてることなく流れるように歩いている。

そのまま階段を降り、ひろとの前まで来て歩みを止め、かわいらしい仕草で一礼した。


ひろとが、軽く礼をして返すと、透き通るようなよく通る声で歓迎のあいさつを述べた。

「ようこそ、試練の城へ、変質者様」


「だれが、変質者じゃあああああああああああ!!!」

ひろとの掛け値なしの全力の絶叫が、煌びやかなエントランスホールに響き渡った。

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