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12.城塞都市

「さて、行きますかね」

ひろとは、ぐっと伸びをして体をほぐす。

ゴーレムを倒して、第一の試練を突破した翌日、ひろとは新たに出現した赤い扉の前に立っている。


意を決して、扉を開いた。

扉の向こうには、昔のヨーロッパのような街並みが広がっていた。

「・・・街?」


恐る恐る、扉をまたぐと、ふわっとしたそよ風が体を撫でる。

扉を出ると、石畳の道の真ん中に出た。両脇には民家が並んでいる。

石とレンガ作りの建物が続いており、遠くの方を見るとお城がそびえたっており、さらに壁が街の周囲を囲っているのが見える。

ヨーロッパの城塞都市というものだろうか。


とりあえず、扉を出て前方の方へ道を歩いていく。

「すげえなこれ・・・なんかの観光施設みたいやな」


住宅街をまっすぐ進む。

しばらく歩くと、壁にぶつかった。

歩いて行った先に、検問のようなものがあり、街の外にでられる出口がある。


「街の外に出られるんか?」

そのまま、街の外に出ようとすると、見えない壁のようなもので遮られた。

「あらっ?これ以上先にすすめないのか・・・『泉の部屋』の見えない壁と一緒のようなものか・・」


「ということは、歩き回れるのは、この壁に囲まれた街の中ってことになるんかな?」

ぺたぺたと見えない壁を手で触って確認しつつ、つぶやく。


「というか、人が一人もいないんだよな・・・・」

扉を出て、10分ほど歩いたが、人が誰もいないのだ。

建物の中に潜んでいることも考えられるが、そもそも物音すら一切しないためおそらく誰もいないのではないかと思われる。


一旦扉まで戻ろうと、そのまま180度Uターンする。

「ん?」

振り返ると、目の前にウサギ顔の白い人型の生物が立っていた。

ウサギ顔がじぃ~っと見つめてくる。


「街の人かな?変わった格好してんな・・・すみませーんちょっとよいですかぁ?」

ひろとは、にこやかに話しかけた。


きしゃあああああ!!

ウサギ顔は突如、叫び声を上げ殴りかかってきた。


拳を固めて殴りかかってくるが、途中で不自然に軌道が変わり、股間に向かって拳を繰り出す。

「うおっ!!あぶねっ!!」


ひろとは、間一髪攻撃を避け、サーベルを引き抜いた。

「敵か?敵なんか?」

ウサギ顔は、問いかけに一切答えず、じりじりと近づいてくる。


「ええぃ!!やるしかないか!!」

中腰になり、サーベルを構え、切っ先をウサギ顔に向ける。


「おひょっ!!」

ひろとは、謎の奇声を上げながら、サーベルを突き上げた。


ぴぎぃいいいいい!!

サーベルがウサギ顔の胴体をわずかに切りつけ悲鳴を上げる。

「ひょっ!ひょっ!」

サーベルを連続で突き出し、そのまま切りつける。


ウサギ顔の白いからだが赤く染まっていく。

しかし、いずれもサーベルが白い毛皮に遮られて致命傷にならない。


ウサギ顔が、じりじりと間合いを詰め、蹴りを放ってきた。

「うおっ!」

後ろにバックステップして避けるが、ウサギ顔はそのまま続けざまに殴り掛かってきた。


ゴスッ!

ウサギ顔の蹴りがひろとの股間に入った。

「んほぉおお!」

脂汗をかきながら、ひろとはうめく。


ウサギ顔がさらに追い打ちをかけてくる。

ひろとは、蹴りを必死で避け、サーベルで切りつけた。


蹴りに合わせ、足を何度か切りつけるとウサギ顔の動きが鈍った。

動きの鈍ったウサギ顔からバックステップで距離をとり、仕切り直す。

「はあはあ・・・蹴られないよう距離をとって攻撃やな・・・」


サーベルの射程ぎりぎりのところから、一定の距離をとりながらチクチクと攻撃を繰り返す。

10分程度たっただろうか、数えられない数の攻撃を繰り出し続けると、全身が真っ赤に染まったウサギ顔がついに倒れた。


「ふぃ~・・・」

ひろとは、崩れ落ちるようにへたり込んだ。ずきずきと痛む股間をさすりつつウサギ顔の様子を伺う。


「死んだかな?・・・」

ウサギ顔が動かないことを確認し、立ち上がった。

「ヨーロッパの街並み散策と思ったら、とんだアトラクションもあったもんやな・・・」


「こいつは、ちょっと食えんな・・・人型は無理だわ・・・」

一瞬持って帰って調理しようと思い浮かぶが、すぐに打ち消す。

そのまま、歩いて扉をめざして歩く。


すると、前方からまたウサギ顔がこちらに気づき、近づいてくるのが見えた。

「ゲッ!まじかよまた来やがった・・・」


物陰に走り込み、ウサギ顔から逃げようと、周囲を見回す。

民家の空いた窓が見えたため、窓から屋内に逃げ込んだ。


ウサギ顔は、ひろとを見失いそのまま通り過ぎていく。

数分後、ウサギ顔がいなくなったのを確認して、ほっと胸をなでおろした。


「ふぅ、なんとか撒いたか・・・」

ひろとは、民家のベッドに腰を下ろした。

家の中は、人はいないが、家具や調度品などは一式そのままになっている。

「うわ、ほんとにヨーロッパって感じの家具やな・・・本格的や」


「なんか、良いものないかな?」

ひろとは、そのまま家探しを始めた。

「おっ、これいいな」

麻袋が壁に掛かっていたので、これに物を入れることにして、物色する。

台所に入ると、調理用具ずらっと並んでいるのを見つけた。

「おっ、これは料理に使えそうだな・・」

鍋やスプーンなどを麻袋に放り込む。塩などの調味料も見つけたので回収しておいた。


「ん?これは?」

応接間に入ったところで、テーブルの上に木箱があるのに気付いた。

RPGゲームにでてくる宝箱のようなデザインの箱だ。


「おっ、これはお宝じゃないの~?」

急にハイテンションになり、腰をくねらせながら気色悪い動きで宝箱に近づいていく。


「どれどれ」

宝箱を開けようとすると、鍵もかかっていないようであっさりと開いた。

「紺色の布?・・・」

中には、紺色に染められた厚手の布が入っていた。


布を取りだし、広げてみると、ひろとの世界で見覚えのある服だった。

「・・・スクール水着・・・?」

突如出てきた、意味の分からないお宝?に首をかしげるひろとであった。


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