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11.変質者

石畳の道を1人歩いていた。

幅3m程度のよく手入れされている道路で、両脇には、商店が並んでいる。


ちょうど正午ごろ、雲一つない晴天。

空を見上げ独り言をつぶやいた。

「はぁ~、天気よいわぁ~」


ひろとは、女性物の紺色のスクール水着を着て、パンダの顔の形をしたリュックサックを背負いながら、街道を一人とぼとぼと歩く。

スクール水着とパンダのリュックとおっさん顔の組み合わせが地獄絵図としか言いようがなかった。


商店にも、店員も客も、誰1人見当たらないため、完全にただの変態にしか見えないが、それを咎める人は一人もいない。

この街には、人っ子一人誰も住んでいないのだから。


商店街を通り抜け、広場に入った。

中央に、貴族風の恰幅の良い男性の銅像が飾られている。

芝生と街路樹がまばらに植えられた円形の広場で、市民の憩いの場として作られたのだろう。

周囲を見渡すと、広場の隅のベンチに何かが座っているのが見えた。


白いウサギだ。

全身を白い毛におおわれた人型の生物で、全長が1m程度。

頭部がウサギになっていて、手には長さ50cm程度の棒を持っている。


「またこいつか・・・・」

ひろとは、ひとり呟きながら、サーベルを鞘から抜き放った。

スクール水着を着たおっさんが真剣な顔でフェンシングの構えをとる。


ウサギ人間が、ベンチから立ち上がり、首をかしげながら近づいてきた。

棒をかかげ、しゅ~しゅ~と鳴きながら、襲い掛かってきた。


「ふっ!!」

ひろとは、息をひとつ吐いて、サーベルを前方へ突き出した。


ザンッ!!

ウサギ人間の持つ棒をサーベルで払い、そのまま胸のあたりを狙い突きを繰り出す。


ギャアアアアアア!!

サーベルが刺さり、ウサギ人間が悶える。

赤い血だまりが地面に広がっていくが、ウサギ人間は、最後の力を振り絞り、腕を振り回す。


ドコッ!!

「ぎゃあああああ!!」

振り上げた腕が股間に命中し、ひろとは叫び声をあげる。


「またかよ!くっそ!」

顔を痛みにゆがめながら、サーベルを持つ手に力を入れ押し込んでいく。

次第にウサギ人間の力が失われ、ついには目の光がふっと消えた。


「やったか?」

ウサギ人間から力が完全に抜けたことを確認し、サーベルを引き抜く。


ひろとは、周囲を見渡し、視界内に敵がいないことを確認し、サーベルを鞘に納める。


太陽に雲がかかり、涼しげな風が吹きはじめた。

汗ばんだ体が冷えて、興奮した精神が落ち着いていく。

息が整うまでしばらく休憩した後、そのままベンチに腰掛け、スクール水着を着た怪しいおじさんは遠い目をして独り言ちた。

「・・・俺は変態じゃないよな?」

ひろとが、ゴーレムを倒した後、『泉の部屋』に戻ると、また変化が起きていた。

『石のディスプレイ』が淡い光を放っている。

石の画面を覗くと、新たな画面が表示されていた。

「・・・・どれどれ?」


『レベル4達成おめでとうございます』

『第一の試練を突破しました』

レベル4になったのはともかく、第一の試練を突破したってのは『森』で石の巨人を倒したことを言ってるのか?

「『第一の試練』ねぇ・・・なんなんやろ一体・・・試練を突破すると何かあるんか?」


ディスプレイに指を這わすと、画面が切り替わった。

ステータスが表示されたが、レベルが上がり数値が少しずつ上昇しているのが確認できる。

サーベルを装備したことで、攻撃力が大幅に上がっているのだろう。

一気に20まで上昇している。

ステータスを確認していると、新たな一文が追加されているのに気づいた。

ーーーーーーーーーーーーーー

登戸博人 30歳 レベル4

体力   35

魔力    8

攻撃力  20

防御力  10

すばやさ 10

剣技レベル 1

女神の加護(股間)

()便()()()()

ーーーーーーーーーーーーーーー


「誰が小便もらしやあああああああ!」

ひろとはステータスを確認しながら、急に叫び始めた。

「・・・確かに漏らしたけど、なんなんやこれは一体・・・修正しろっ!!」

文句を言うが、ステータスは修正される気配がない。

「くそぅ、本当に俺を監視しているやつは、ろくでもない奴やな」


はぁ・・とため息をついて、視線をそらすと何か見慣れないものが視界の隅に移り、驚いてそちらへ振り返った。


突如として、新たな扉が出現していた。

赤い光沢のある金属製の扉だ。茶色の木製の扉の3mほど横に鎮座している。

「なるほどね。これが『第二の試練』ってわけね・・」


ひろとは、まだまだこの奇妙な冒険が終わらないことを悟って、苦笑いしながら扉をしばし眺めていた。

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