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追放されたツイターの青い鳥は、気ままなスローライフを堪能する

「ツイターバード!お前を勇者パーティから追放する!」


 オーナーのイーヤン仮面がダンジョンの最奥、ラスボスの部屋の前で急に言い出した。


「はあ? なぜ今? なぜ急に?」

「お前はなにもしないではないか! カワイイ、カワイイと言われるだけで一体どれほど金をかせいだというのだ!」


「いや、それなりに稼いでいましたよ」


「ええい、うるさい! カワイイで何ができるのだ!」

「いや、マスコットキャラというのは大抵そんなものでは? 役に立つマスコットキャラ? 聞いたことがないんですけど?」


 マスコットキャラってイメージ戦略だけだよねえ?


「カワイイなんて物は、ニッポンという小国でしか使わない変な言葉なのだ! この大国ではもっとスマートでスタイリッシュな方がいいのだ! そうに決まっている!」


 イーヤン仮面はツバを飛ばしながらわめいた。きったねえなぁ。


「お前の代わりはすでに用意した。この『X』様だ」


 そこには黒づくめの忍者服を着た男が、腕と足を斜めに開いて立っていた。


「カワイクナイ」

「スタイリッシュだろう?」

「なんて読むのですか? バツ? ペケ? かける?」


「えっくす!」

「せっくす!!?」


「そう言うだろうと思ったよ! だからイクスにした。よく見ろ2人いるだろう」


 目の錯覚かと思ったら、2人重なっていたのね。ブレているように見えるけど2人なら納得。


「複数形でイクスズ。クールだろう?」


 全然良さが分かりません。


「ということで、お前はもういらない。ここから先は俺たちだけで行く。役立たずは一人で帰るのだな。このダンジョンの最奥からな。ウハハハハハ」


 イーヤン仮面は高笑いを始めた。


「待ってください! 僕は幸運の青い鳥ですよ。僕の幸運なしにボスと戦うなんて無謀です!」

「そんな目に見えないもの、本当にあるのか? だいたいお前はいつもドジを踏んで周りに迷惑をかけているではないか! 幸運があるなら怪我もドジもしないだろう! 足手まといなのだよ」

「それは僕の……」

「うるさい! 追放は決定だ! そこで俺たちの活躍を聞いているのだ。俺たちはボスに勝ってそのまま地上にワープする。お前はここで魔物のエサにでもなりやがれ!」


 そう言うとボス部屋の扉を開けて勇者一行とオーナーは中に入っていった。


 固く閉じられた扉の向こうから声が聞こえる。


「よく来たな勇者よ。だがここがお前たちの墓場だ」

「何を言う! いくぞ、イクスズ」

「「おう!」」


  キン・キン・キン


「その程度か」

「なぜ効かない!」

「どれ、ステイタスを見てやろう。ヌフフフフ、なんだその数値は。幸運値がマイナス極振り? せっかくの攻撃力がマイナス補正でなくなっているではないか」

「幸運値? もしかして鳥か!」


「えい」

「「「ギャ――――」」」

「防御力まで紙レベルにするとは。たかがデコピンでここまでダメージを受けるなんて。勇者も地に落ちたのう。ヌフフフフ。殺すまでもないな。奴隷にでもするか」


 辛すぎてこれ以上聞いていられない。僕はダンジョンの出口に戻った。


 幸運値を彼らに使わなくてよくなったせいか、一体の魔物とも出会わずに外に出ることが出来た。しかし、このまま戻れないな。誰もこんな話信じてくれないだろう。もしかしたら勇者を見殺しにした罪をかぶせられるかもしれない。


「僕を追放しなければ勝てたのに」


 オーナーを恨んだ。もう国には帰れない。そうだ新しい国に行こう。そこでスローライフを堪能するんだ。


 僕は海を越えて新大陸を目指した。


 オーナー並びに勇者一行は、その後行方知れず。

 幸運の青い鳥を失った王国も、やがて滅んでいった。



※ この物語はフィクションです。如何なる団体・企業・個人といささかも関係はございません。本当です。信じて下さい。ホントだってば!!

青い鳥 カムバック!

そう思っている方★★★★★入れて下さい

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