(11) 体の痛み
また「ん」と声が漏れて、見るとわずかに顔をゆがませているような。
「……もしかすると、どこか痛いのかな?」
「あ、そうかも知れないわね。そういえば……」
「そういえば?」
「はっきりしないけど、この体から抜ける前、すごく痛かったような気がするの」
「えっ!?」
「そうそう、痛さから逃れようと意識をむりやり引きはがしたら、この姿になったんだったわ。今思い出した」
「そ、そうだったんですか!?」
「思い出したら、なんだか足の方がキシキシしてきたわ」
「え!」
「下半身はまだ抜け出せてないから、体の感覚が伝わってくるのかも……」
「痛いんですか?」
「うーん、痛いのではないけど、なんか気持ち悪い感じ。魂には神経なんてないから痛みにはならないんだと思うわ。でも体はすごく痛がってるのかも……」
「ちょっと触ってみるので、どのへんがキシキシするか分かりますか?」
毛布の上から、膝のあたりをそっと撫でてみます。
「分からないわね。直接触ってみて」
「はい」
毛布をめくって、足に直接触れてみます。つま先から徐々に撫でていきます。
「――そこ。――そのあたりも」
どうやら膝とももの付け根あたりのようです。
「体の中に入るから、上半身も確かめてちょうだい」
靄の上半身がすっと倒れて体と一体になります。
左の手先から徐々に触って行くと、手首、肘、肩など、ちょうど関節部分が疼くみたいでした。
肘を両手で包んで、そっと揉むように触ってみると「ん、ん」と頬をしかめてしまいます。
「触ると痛いみたいですね」
「そうね〜」
「どうしたらいいでしょう?」
「分からないわ」
また靄の上半身が起き上がって、側に置いてある鉱石を撫ではじめます。なんだかクセになっているみたいです。
「あら?」
「どうしました?」
「これを触ってると、さっきの感覚がやわらぐみたい」
「え、そうなんですか?」
「ん〜と、これよりこっちね。これも少しいいかな……」
「金と銀とコバルトですか」
「試しにこれを体に触れさせてみてくれない?」
「ああ、なるほど。少しでも痛みがやわらげばいいですね」
また上半身が体と一体になったところで、関節あたりに鉱石を置いてみます。
「どうでしょう?」
「キシキシするのは少しやわらぐけど……体の痛みはどうなのかしらね」
「う〜ん……。あ、もう少し大きな鉱石なら効果もはっきりするかも」
「そうね、試してみましょうか」
「じゃあ、なるべく金とか銀がたくさん入ったのを探してみます」
次の日を待たず、夜中にこっそりとクズ山に向かいました。




