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初のカラオケ店と美少女

「カラオケに行きたいのお」

 ばあちゃんが提案する。


 カラオケに行っても、今流行の歌とか歌えないだろ。俺は心の中で突っ込んだが、ばあちゃんは老人クラブでもカラオケクラブに所属するほどのカラオケ好きだ。まぁ、いっか。


「椿ちゃんが行くなら、俺も行きたい!!」

 藤沢、その台詞から想像するに、ばあちゃんを気に入ったのか?


 相思相愛でも本当は高齢だ。ずっと若いままではないだろうけれど。

 今日明日くらいならば――問題ないな。僕は自分を納得させた。


「私も今日暇なので、行ってもいいかな?」葉月さんが聞くと


「もちろんじゃ」ばあちゃんがポーズをとる。


 葉月さん、暇なのかな? もしかしてばあちゃんと同じ藤沢狙いか?

 俺は恋の三角関係に対して少し心配になったが、ばあちゃんは八十歳だ。分別をわきまえた大人だと言い聞かせ自分自身、納得することにした。


「カラオケボックス、立派じゃの。いつも公民館で歌っておったから」


「公民館?」

 藤沢と葉月が反応したが。


「うちは田舎で、近くの公民館借りて友達と歌ったりすることもあるんだよね」


 本当は、さすがに高校生は公民館をかりてカラオケなど、しないのだが。


「そーなんだ」二人とも幸い都会育ちらしく、納得してくれた。


「ばーちゃん、演歌歌うなよ。高校生で演歌歌う人いないぞ」

 小声で耳打ちする。ばあちゃんは以前は耳が遠い時があったが今は無敵の十八歳だ。小さな声もばっちり聞こえているようだ。


「なにを歌えばいいのじゃ?」

「紅白に出ているような演歌歌手なら、受け狙いでいけるかもしれないし……。僕が見ていたアニメの歌、覚えているか? あれでもいいかもよ」


「君が代、いれてくれんか?」

 俺は、ばあちゃんの提案に少々戸惑ったが、それはそれでみんなが知っているメジャーな曲だから、ありだろうと思った。


「椿ちゃんって面白いね」

 藤沢はばあちゃんの奇行を前向きに受け取ってくれたようだ。

 面白い人というポジションは、いまのばあちゃんには都合がいい。


 君が代が流れて、そのあとは他の人が入れた流行の曲が入る。

「蛍の光入っているけど……椿ちゃんかな?」

 藤沢がマイクを渡す。

 ばあちゃん、蛍の光もメジャーだがな……。

 あまり、カラオケで歌う人はいないと思うぞ。


 カラオケではフリータイム料金だったので、ここで夕食を頼むことにした。

 ある程度歌うと、のどが疲れるものだ。少し食事をして休憩をはさむことにした。

 そこで、自称十八歳のばあちゃん以外が、アルコールを注文した。

 ばあちゃんは、元々そんなに酒は飲めないほうだった。

 ポテトやピザなどの食事を注文して、狭い密閉された室内での飲み会が始まった。藤沢は、ばあちゃんのことが気に入ったらしく、ばあちゃんの隣を陣取って、色々話しかけている。実年齢を知ったら、百年の恋も冷めるだろうということを知っている僕は、静かに傍観することにした。悪いな、藤沢。これもばあちゃん孝行だと思ってくれ。


 必然的に僕と葉月さんが二人残される。仕方なく、横に座っている葉月さんと世間話を作り出す。元々おしゃべりが苦手な僕は、世間話などを容易にできるほうでもない。しかも同世代の異性というのは、正直ハードルが高い。


 葉月さんは話題作りが得意な様子で僕に色々質問をしてきた。まるでお見合いみたいだ。自己紹介みたいな趣味を説明している僕は、しどろもどろであまり上手に説明はできていないのだろう。婚活ってこんな感じなのかな? という想像をしながら、この時間が早く過ぎてほしいと心のどこかで思っていた。


 意外だったのは葉月さんが少年漫画好きだということだ。僕は今でも毎週買っている週刊誌を彼女も読んでいた。ファッション雑誌の類しか読まないと思っていたので、意外性があった。


 その中で好きな漫画と好きなキャラが被っていたのもファン目線で話が弾んだ。

 リアルで漫画を語る相手などいなかったから、正直うれしい誤算だった。


 なんとグッズも買っているくらいの大ファンらしく、近々イベントがあるから行こうという話にまで進展した。アニメ化したばかりの作品だったのだが、 アニメ化に関する情報やアニメと原作の違いを事細かく分析していて、アニメ好きには見えないのに、こんなに漫画作品に愛を持っているとは少し驚きだった。人は見た目だけではわからない。偶然が重なって好きな作品が被ったのが幸いとなった。

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