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謎のサイト

よろしくおねがいします

 ──都市伝説。


 世の中に数多と存在するそれらは、様々な要因で語り継がれている。

 嘘。

 願望。

 そして事実。


 だが嘘のような本当の話を聞かされた者は素直にそれを信じるだろうか?

 ──そう、だれも信じない。あったらいいなと思う反面、同時にそんなモノは存在しないと冷静に思考してしまう。


 よって真実だった話は広まるうちにただの都市伝説の一つとして、数多の都市伝説の中に埋もれていく。


 そしてここにも埋もれていく都市伝説が一つ。

 幾千ものゲームをクリアした者だけが入れるサイトがあるらしい。

 サイトに入るととある一つのゲームがダウンロード出来る。

 だが起動はするな。


 もし起動すれば、この世界での存在を抹消され、異世界へ連れて行かれる。

 いかにも嘘くさい、願望にまみれたこの都市伝説の最後には注意書きのように一言だけ添えられている。『覚悟のない者は《Very Hard》を選ぶな。真の継承者以外は死ぬことになるだろう』と。


 そのいかにも厨二病を拗らせたような注意書きと、そもそも幾千本ものゲームをクリアした者がほぼ存在しないため、この都市伝説は数多の都市伝説に埋もれていた。

 しかしその条件を満たした少年が一人いた。


 ゲームソフトのパッケージが大きな棚に隙間一つなく入れられている暗い部屋があった。

 よく見ればゲームのパッケージが入った棚は一つではなく、部屋の四方に同じような棚がいくつも設置されている。


 文字通りの『ゲーム部屋』といった内装の部屋。

 四方をゲームソフトで囲んだ部屋の真ん中にはゲーミングPCが設置されている。


「はぁ……」


 突然部屋の扉が開き、疲れ切った顔をした少年が学校指定のバックを投げ捨て部屋に入ってきた。

 少年は慣れた動きでモニターの前に座ると、パソコンの電源を押し込む。

 黒い画面に一瞬少年の顔が映り込むが、すぐにパスワード入力画面へと推移する。そこに慣れた手付きでパスワードを入力した。


 次にモニターへ表示されたのは様々なゲームの起動アイコン。

 しかしそれらには触れず、ウェブサイトのアイコンをクリックする。


「……なにか、暇を潰せるいいゲームはないかなぁ……」


 いつもの様に少年はネットサーフィンを始めた。それはもはや習慣と言ってもよいほど繰り返された行為。普段は何も見つからずこのまま動画サイトで、動画視聴でも始めるのだが今日は違った。


「ん? なんだこれ?」


 少年が見つけたのはタイトルがついていないゲーム紹介ページ。

(やばいサイトか?)

 ウィルス感染するかもしれない変なサイトかと思い、ブラウザバックをしようとした少年の手は、サイト内に映った映像に目を引かれ止まった。


 映像はあまりにも美麗で、実写かと見間違えるようなクオリティ。

 だが、現実ではありえない魔法や剣を振り回すようなシーンが写っており、少年は一瞬で興味を引かれた。


「ダウンロードしてみるか……先にファイルをウィルススキャンして……」


 ウィルススキャンとダウンロードまでの時間僅か十数秒。

 しかし、ワクワクとしていた少年にはその十秒が無限のように感じられた。

 そして──。

「ウィルスなし。起動しよう」


 慣れた手付きでEXEファイルを開くと、すぐにゲームが起動した。

 しかしタイトル画面にはゲームタイトルが表示されない。


「もしかして、未開発のゲームか? ……まぁいいか」


 躊躇なくスタートボタンをクリックすると、すぐにキャラクタークリエイト画面へと移行した。


「おぉ。キャラクリか。女性も選べるみたいだな……だけど今回は男で、顔はできるだけイケメンに……髪は灰色にしておくか」


 などとキャラクリエイトに十分程度かけ、画面を進めると、種族選択画面に進んだ。


「こういうのって順番逆じゃないか? まだ製作途中ってところか」


 と言いつつ、少年は種族一覧に目を通す。

 選べるのは人、エルフ、ドワーフだけだった。


「まだ選べる種族が少ないな……まぁ人でいいか。ステータスのバランスが良いし」


 少年は人間の種族を選ぶと、画面は才能・スキル選択画面へと移る。

(ここでゲームの全てが決まると言ってもいい、変なスキルを選んだら攻略出来ないぞ)


 少年は一度、才能・スキル一覧に全て目を通し、振ることの出来るポイントの総量を考慮してスキルと能力を選択した。

 能力:剣術中級、魔術初級

 スキル:タイムディレイ


「こんな感じか……。タイムディレイがポイントを喰ったな。後は──名前か」


 少年はキーボードに手を添えると、慣れた手付きでカミトと入力した。

 自分の名前をただカタカナにしただけだ。ネットリテラシーの欠片もない行為だが、自分の名前をプレイヤー名にするなどという行為を行う人間はそう多くないので、実名だとは誰も気が付かないだろう。


 名前を入力すると、四つの選択肢が出現する。

 四つの選択肢の内容は《Very Hard》《Hard》《Normal》《Easy》の四つだった。

 少年は迷うこと無く《Very Hard》を選択する。


「やっぱりやりごたえがないとな!」


 難易度を選択すると、画面が一瞬止まり次の瞬間、モニターに渦巻きのような演出と『現在適合する世界を検索中』という文字が出てきた。

 ロード中などと書かれるより、よっぽど世界観に没入出来てよい、と思っているとカミトは意識をモニターに吸い込まれるような感覚に襲われる。


「な、なんだ! これっ」


 何かマズイことになっている、気が付いた時には全身から光の粒が漏れていた。自分の体が分解されていくような奇妙な感覚と共に視界が徐々に閉じていく。


「で、電源を──」


 カミトはPCの電源に手を伸ばす。

 しかしカミトの手は電源に触れるよりも早く光の粒となり消滅した。


「て、手がっ!」


 先ほどまであった右手は肩の付け根より先が存在せず、断片からは光の粒子が溢れ出ていた。

(もうダメだ)

 諦念の気持ちでモニターを見ると、おぼろげに『新たな世界ご堪能ください』と書かれていたのが見えた。


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