あとがき~この小説を書いた理由
関係が深まったかと思ったら逃げる、音信不通になる、隠し事をする、嘘をつく、他の女の影をちらつかせる。
そういう人の気持ちが、私にはさっぱりわかりませんでした。そういう人をよく見てみると、決して楽しそうではなく、むしろ苦しそうで、ますます不思議でした。
検索すると、そんな逃げぐせに苦しむ人はたくさんいるようで、彼氏や彼女の逃げぐせに困っている人も多いことがわかりました。
心理学や脳科学の本などを調べていくうちに、そういう行動しか取れない独特の心の動きが存在することがわかってきました。
自分の中にも多少の逃げぐせがあることにも気づかされました。
逃げぐせのある人は変わらなくていい、とは思いません。本人が1番苦しそうなので、変わったほうが楽になるんじゃないかと思うからです。
ただ、人はそう簡単に変われるものでもありません。まずは、自分がはまっている行動のクセに気づくことが第一歩で、その助けになればと思い、この小説を書きました。
人間観察と本で調べたことをもとに、私の想像で書いているので、彼らの気持ちを100%表現できているとは言い切れませんが、大事なポイントは押さえているつもりです。
後半は犯罪の話ですが、逃げぐせのある人が犯罪に走りやすいというわけではありません。
どんな人も、周りがその人の性質を理解せず、不適切な接し方を続ければ、精神的に追い込まれて犯罪に走ってしまう可能性は十分にあります。
積もりに積もった「わかってもらえなさ」が爆発したものが犯罪ではないかと、私は思っています。
この小説が自分を振り返ったり、理解しにくい誰かを思いやったりするきっかけになれば幸いです。何か思うところがあった方は、ひと言でも感想を残してくださると助かります。