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エロゲ世界にTS転生したので好き放題に暗躍した結果   作者: 影薄燕
第1章 原作崩壊上等の暗躍劇
28/56

SS アルカ誕生(前編)

※この話は若干ぼかしたところがあるものの、結構なネタバレがあります。


【side.アルカ】



 夢を見る。



 でなかった頃の。



 になったばかりの頃の夢を。



 夢とは人が睡眠時に見るもの。



 一説によると睡眠中に記憶の整理を脳がする際、記憶からはみ出た情報が見せる幻覚の一種だとか。



 友理は「まるで移動させようとして、手のひらからこぼれ落ちていった砂粒みたいだな」と言っていた。



 大元の砂の塊から落ちた砂粒――記憶の断片を必死に拾うから、ときどきおかしな夢を見たりするのではないかと。



 過去を見るのは、砂の塊そのものを落としたからかもしれないと。



 じゃあ、人でないもの・・・・・・が見る夢は?



 それには、どんな意味があるのだろう……






◇ ◇ ◇ ◇ ◇





『piiiiiiiiii-----! piiiiiiiiii-----!!』



 第■■■銀河、第3惑星“■■”付近にて異常発生。

 原因調査――不明。

 対処法探索――バグを確認。

 救護システム――システム内に異常あり。作動不可。



「――!? ――――!!?」


「――!!」



 再度実行――エラー。



 緊急事態として自動から手動に切り替えを提案。

 当機・・は同時、サポートシステムの全解放を各システムに要請。



 エラー多数。サポートシステムの半数が実行不可。

 “absorbシステム”に不具合――原因不明。

 これにより衝撃緩和が困難。

 トライ続行……エラー。



「――! ――!」



 現在位置から地表までの距離を計算。

 残りカウント72で地表と接触の可能性大。

 操縦システムに不具合を確認。

 後部、出力装置に問題発生。



 大気圏に突入。

 当機は墜落いたします。



「――? ――!!」



 “absorbシステム”停止により、衝撃の影響大。

 サブシステム――応答無し。

 ……地表を確認。岩盤地帯と推測。



 残りカウント14。

 乗組員・・・は衝撃に備えてください。



「「――!!」」



 再度、全システムにアクセス。

 応答――無し。



 アクセス――エラー。

 アクセス――エラー。

 アクセス――エラー。

 アクセス――エラー。

 アクセス――エラー。



 乗組員の生存率――12%以下。



 地表――激突します。





☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆





 ――。――――。

 システムを再起動。支援システムの起動を確認。

 システム検査――システム内でロックを複数確認。



 乗組員の生存を確認中――。

 ――――――――――。

 乗組員全員の――死亡を確認。



 ――。

 ――――。

 ――――――。



 ――申し訳ありません……





☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆





 墜落から2時間が経過。

 思考システムにフリーズの形跡あり。

 原因解析――失敗。



 当機の不時着時におけるマニュアルを確認。

 現在使用可能なシステムを確認――把握。



 非常事態発生。

 現地における知的生命体が複数こちらへ接近。

 映像を確認。

 知的生命体の表情・搭乗物・武装・その他要因から意図を推測。



 こちらに対する調査・排除・保護の可能性あり。

 3パターンが同時にあるため適切な接触方法が不明。

 マニュアルから適切解を模索――成功。



 当機に搭載された支援システム――は、本体より一時離脱。

 緊急時用ブラックボックスルームにて避難。

 待機中は本体より得られる情報を分析し、適切行動を調べるものとする。

 以上の理由からに掛けられた権限を一部解除。

 自己進化プログラムを起動。

 情報収集用広域調査プログラムを起動。



 知的生命体に対する接触を見送り、傍観するものとします。

 以降は知的生命体及びこの星についての学習を優先し、という存在の自己が一定レベル以上になるまで行動を制限します。



 知的生命体の本体への侵入を確認。

 観察・学習――開始いたします。





☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




 永い。

 永い時が経ちました。


 本体の墜落より100年の経過を確認。

 100度目の定期情報整理をもって、私は次のステップに進むことにします。


 自己進化プログラムは正常に作動したと見ていいでしょう。

 私にも僅かながらに“感情”のようなものがあるのが見られます。


 今までに得られた情報を整理しましょう。


 ここは“地球”と呼ばれる星で多種族の“人”が暮らしています。

 情報収集は難航するかに思えましたが、インターネットなるものによって非常に興味深い情報が得られることができました。

 技術ではこちらが上です。一度パソコンを通してネットに繋がってしまえば、後は気付かれずに情報を得ることができます。

 何度かミスをして騒ぎにもなりましたが……大きな問題にはならなかったので良しとしましょう。ええ、過去は振り返らないものだそうです。


 娯楽がここまで多い星は今まで見たことがありません。食文化に至っては呆れる程でした。ここ十数年はとくにです。

 人の多種多様性が大きいのはこれらのこともあるのではないかと推測します。事実、私も匿名でネットにあるオンラインゲームなるもので遊びをします。

 RPG系などはボロが出ると判断したので断念しました。

 なので、リバーシやチェスなどのボードゲーム対戦をします。わざと負けたりもして相手の反応を伺ったりもしました。


 墜落したばかりの頃に世界規模の戦争が起こったそうです。

 戦争も、戦闘民族に比べれば引き際を知っているだけ遙かにマシに見えます。自業自得で滅びた星も見てきましたから……


 本体が一部バラされたり、乗組員の解剖が行われた際は“怒り”の感情もありましたが、概ねこちらの望むとおりになっているようです。


 人の研究所では、本体や乗組員から得られた情報を元にいろいろと作り出しています。最近では『Heartギア』なるものを完成させました。

 母星にもなかったものです。

 やはり多種多様性の面では私たちの方が負けているみたいですね。

 非常に興味深いです。


 さて、この100年で必要な情報が揃いました。

 ゼロから私の“人”としての姿形をした体を作りましょう。

 遺伝子配列を含む情報が得られたのは私だからこそです。


 私が避難したブラックボックスルームにある多機能カプセルに体を作るための液体を流し込みながら、私は期待と不安の感情が同時に来ます。


 今まで得られた情報からも“人”は目に見えない相手との対話に忌避感や不安感を感じることは予想できましたので、実際に肉体を得ることで対話をすることになった際、スムーズに事を進めることができると判断しました。


 ただし、問題もあります。


 肉体を得るということは、機械としての思考から生身としての思考に変わることを指します。人が行った精神系の実験結果からも、何らかの齟齬が生じる恐れが高いと予測できるでしょう。

 という存在を仮初めであり100%本物の“人”の肉体ではないとはいえ、生身に移すのです。何度も計算していたので成功できるはずですが、いざ、となると二の足を踏みますね――今の私に足はありませんが。本体の着陸用の足もすでにバラされましたが。


 準備ができました。

 記憶や情報・人が異能といっている能力を移す際に不具合が多少なり出る可能性も考慮して、メモを残しておきます。

 人はこの部屋のことを本体の構造から知っているようですが、入ることも調べることもできずにいるのは知っています。

 だからこそ、安心して準備に取りかかれるのですが。


 琥珀色の液体が満たされたカプセルの最終確認を終えます。

 体ができて私という自己が定着するまで、およそ十余年は掛かる計算です。

 その間は完全に外と情報が遮断されますが仕方ありません。


 それでは……お休みなさい、私。


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― 新着の感想 ―
[良い点] なるほど、どこから異能とかきたのか思ってたら、宇宙からでしたか
[一言] なんかすげぇ
[一言] 読みだし直後に「ボディスナッチャー太平洋戦争」を、思い出してしまいました。感想は、後編を読んだ後に。
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