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なれるのならば勇者になりたいですか?

 案内されている間に理解したことは、ここは相当巨大な建物だということだ。

小説でよく表現される中世ヨーロッパの城内、あるいはそれ以上に厳かな光景が視界を埋め尽くし、ドッキリの類なのだとしても一般人に対してこのスケールは想像し難いと感じた。

本当に異世界へ来てしまったのかもしれないと現状に対する疑念が一つ取り払われるのと同時に、疑問が生じる。

きっとその答えを目の前の少女が説明してくれるのだろうと信じ、その後を追う。


「こちらの部屋にてお話の続きをさせていただきたいと思っております」


 その言葉とともに、応接室のような部屋へ通される。

 促されるまま着席すると同時に入ってきた扉とは違う入り口が開かれ、燕尾服に身を包む初老の男性によって、紅茶のようなものが提供される。

 怪しいものかと勘繰りはしたものの、整理しきれていなかった自身の思考を落ち着いたものへと宥めるような上品な香りが鼻孔をくすぐる。

おそらくは精神安定、リラックス効果のある茶葉を意図的に使っているのだろう。


「では、お話の続きをさせていただこうかと思います」

「はい」

「この国は――いえ、この世界は今、未曽有の危機に瀕しているのです……」


 この世界の歴史から長々と説明されたが、話はシンプルだった。


「魔王の手によって支配されたこの世界を救っていただきたいのです」


 藁にも縋るような表情で、一回りは年下の少女から懇願されている状況で、断れるわけがなかった。


「できる限り、力になりたいと思います」


 そう口にすると同時に、左手の甲に鈍い痛みが走る。


「勇者の証……我らの世界の命運を、貴方に託します」


 そこには、不思議な紋章が浮かび上がっていた。


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