異世界の存在を信じますか?
「……どうなってるんだ」
目の前に広がっていたのは不可思議な光景だった。
時代を逆行したかのような奇怪な聖職者のような厚手のローブを身に纏う集団と、白く煌びやかなドレスを身に纏う美少女に包囲され、足元には理解不能な魔法陣とでもいうべき模様が描かれていた。
それだけでも異質な状況なのではあるが、それ以上に不思議なのが五体満足のこの体であった。
「目を覚まされましたか?」
状況を受け入れられず困惑しているのを見かねてか、少女が声をかけてきた。
「……ええ」
本当に信用できる人物なのかすら分からず曖昧な応答しかできずにいると、少女が言葉を続ける。
「突然の不可解な状況に困惑されているかもしれませんが、まずは私の話を聞いていただきたいのです」
「はい」
「ここは、貴方様が元々住んでいた世界とは異なる世界です」
「ごめんなさい、言ってる意味がよくわからないのですが……」
「荒唐無稽なことを言っているのは重々承知しております。ですが私としても信じていただく他なく……」
「まあ、はい。分かりました」
「では、続けさせていただきます」
少女はそのまま話を続けようとするが
「……申し訳ありません。このような場所では少々息苦しいでしょうし、場所を移しましょうか」