表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

6話 悩み

お久しぶりです。


拝啓、父さん母さん。僕です結城です


ゲームの中に入ってしまうという最近よく見かけるラノベの主人公みたいな事になって一ヶ月ほど経ちました。


しかし、ラノベの主人公みたいに無双出来る訳もなく毎日死にものぐるいで冒険頑張っています。けれども僕には親友の2人も一緒にいるので全く辛くありません。最近はギルドでも仲間が増えてきてとても楽しい毎日を送っています。


そんな僕にも最近ある悩みが出来ました。

人によってはちっぽけな悩みかもしれません。

その悩みとは



ムラムラする事です



いや、思春期真っ只中の高校生ですよ!?普通ムラムラするでしょ。

ラノベの主人公達は何?ムラムラしないの?悟りでも開いてんの?仏陀なの?

普段ならネットとかで済ませるけど、この世界はネットとかも無くそういった本なども見かけない。

最初の頃は冒険の疲れでヘトヘトでそんな事考えることも無かったけど、最近は慣れてきた事もあり多少の余裕が出来てきたせいだろう。


でだ、今現在俺はその解決策を見つけるべくベッドの上で思考を練っている。

あの2人はというと、大輝は街に用事があるらしく出かけており拓海は家計簿をつけている。


この2人に聞いてみるのが早いかもしれないが、何か自分だけこんな事で悩んでたとしたらネタにされるし仮にあちらも同じ事で悩んでたとしたらあっちから聞いてきて欲しいというつまらないプライドがある。


ただこうして色々考えてる時もムラムラは治らない。

俺は気を張らすべく、ベッドから起き上がり台所へ向かいコーヒーを入れる。


「ついでに拓海の分も入れてやるか。」


戸棚からコップを用意し片方には砂糖と牛乳を流し込みコーヒーを注ぐ。


「誰もいないところで全力で卑猥な事を叫んでみるか? いや、冷静になるんだ俺。」


コーヒーを入れて部屋に戻り拓海の近くに座る


「ほれ、コーヒーだ。飲むだろ?」


「ん、ありがとう。」


そういって拓海はコーヒーを受け取りコクコクと音を鳴らしながら飲む。机作業は頭を使うから糖分は必要だろうからな。


俺はコーヒーを飲みながら考える。拓海に悩みを打ち明けるかを。


考えろ俺、ここで打ち明けるか又は大輝に相談それか自分で解決策を見つけるか。個人的には一人で解決したいが正直危ないかもしれない、色々と

2人一緒の時に相談しても恐らくボケと思われるのが落ちだ。だからどちらか1人に、もしくは両方1人ずつの時に聞くかだ。


拓海に相談するとして何と聞くか。「最近どう?いつ◯◯した?」とか聞いたら恐らく呆れられるだけだろう。まず質問に答えてくれるかも分からない。


いや待て、拓海も男だ。実は同じ悩みを持っており自分から聞きにいけないのではないのか?そうに違いない。ならば俺から聞いて行くのが親友(だち)ってもんじゃないのか?



俺はコップを置き、拓海の方を真っ直ぐ向き真剣な表情で尋ねる


「拓海、実は大事な話があるんだ。」

その後、一呼吸置いて

「ムラムラした時どうしてる?」


拓海は、口に含んでいたコーヒーを盛大に吹き出した。







「いやー、笑い死ぬかと思ったよ。」


机と床がコーヒーまみれになった為2人で拭いている。


「真面目なトーンで話しかけてくるから僕もちゃんと聞こうと思った瞬間あれだからね。」


「俺は結構マジで悩んでるだ。」


他者からしたらアホみたいな悩みだが当事者の俺としては結構深刻である。


「ごめんごめん。で、質問に真面目に答えると最近そういった感情は湧いて来ないっていうかこの世界来てから一度もそんな気分なった事ないかな。」


俺は拓海の方を見る。本人は嘘をついてる様子は無く真面目に答えくれてるようだ。


「だから僕に聞くより大輝に聞くのがいいかもね。よく女の子に声かけてるしね。」


まぁ確かに大輝はよく女の子に声かけてるから性欲ゼロって事はないだろう。


「それもそうだな。てか拓海も俺と同じ悩み抱えてると思ったんだけどな、まさかその歳でイン◯になるとはな。」


この後拓海から腹パンを喰らい大輝が帰ってくるまで口を聞いてくれなくなった。









「実は俺もここに来てから一度もそういった気分になった事ないんだ。」


大輝が街から帰ってきて早速相談したがまさかの返答が返ってきた。


「え?それなら普段の行動と一致しないんじゃない?」


拓海が疑問を投げかける。確かに普段の言動と気持ちが一致していない。


「あのなぁ…俺がああいった事をするのは決して下心じゃなくあれが俺のアイデンティティでもあり女性に優しくするのが俺のポリシーだ。目指すはイタリア系のダンディなおじさんだからな。」


普段の行動にそんな意味があった事を知れたが俺の悩みは解消されない。


「とすると僕ら2人は性欲無くなって結城だけが何故か普通通りあるって事か。」


「何で俺だけなんだよ……」


俺が何をしたんだよ。ナニもしてないだろ。


「いっそギルドの人達に相談してみるのどうだ?」


「俺を社会的に殺す気か?」


「なら図書館で探す。」


「そんな内容の本あると思うか?」


「いっそのこと彼女を作る。」


「そんな下心で彼女作りたくない。」


いくつか意見が出るが解決策は見当たらない。こんな時Google先生がいてくれれば


「図書館……本……そういえば。」


何か思いついたか拓海は席を外し程なくして一冊の本を手にして戻ってきた。


「この本に何か載ってないかな?」


その本は、この世界に来た時に貰って最初の時以外全く開いたことのない冒険の書であった。


ダメ元で3人で中身を見た所原因らしき部分を発見した。それは「遊び人」というジョブの説明欄の一部にあった。


「〜。このジョブの性質として異性に対しての興味が増幅され本能的に異性を求めるようになる。〜」


つまり、遊び人となった俺はその名の通り遊び人として本能的に女性を求めてるようだ。ふざけんな





後日、俺以外の遊び人を探し訪ねるべくギルドへ向かったが今現在ギルドに遊び人は自分だけらしく過去にはいたらしい。

俺以外に遊び人になった人物のほとんどがジョブを捨て村人となってたり、遊び人のままの人物は謎の失踪を遂げたりや元カノ今カノ関連で修羅場だったとかなんとか


意を決してソフィーさんにどうすればいいか尋ねてみるが、どう返答すればいいか困惑しており「身を固めてみるとかとしか言いようがないですね」と。ごもっともです。




数日後

俺たちに加えココアさんの4人で湖の周りの見回りに向かった。

その湖はとても澄んでおりそこに住んでいる魚は大変美味らしい。近くに村がありそこの住人の飲み水になったり大切な生活資源でもあるらしい。


ただそれは村人だけで無く魔物達からしても同じで動物型の魔物ならまだいいがゴブリンやオークなどの人型の魔物が住み着いた場合近くの村に危険が及ぶ為そういった魔物が住みつかない様に定期的に見回りに行かないといけないらしい。



見回りの方は特に問題無く途中はぐれ狼が姿を見せたが此方を見て何処かへ消えていった。

こういった野生の獣はこちらから好戦の意思を見せない限り襲ってこず余程の事情がない限り彼方から襲ってくることはまずない。



だがしかし、見回り自体が楽に終わったせいかいつもなら疲れてあんな事に意識がいかないが今日は違う。具体的にいうともう1人の僕が昂ぶっている。


自然に体がくの字に曲がってしまう為このまま歩いてたら頭おかしい奴だと思われてしまう。

俺はもう1人の僕が収まるまでその場に蹲るようにしゃがみ込んだ。


「ハオウさん!どうしたんですか!?もしかして怪我でも?」


急にしゃがみ込んだ俺をみかねてココアさんが寄り添って来る。

他の2人は察したらしく遠巻きに見守ってる。


ココアさんが心配して体をさすってくれるがその手つきがソフトタッチで優しく余計に辛くなってしまう。おいおい、相手は男だぞ?


「ハオウさん、しっかりした下さい。急にどうなさったんですか!?」


「あ、特に何も問題無いです。怪我も無くちゃんと元気ですよ。色々と。」


「ならどうして蹲っているんですか?やっぱりおかしいですよ。」


「いや、あの蹲っているけど立っているというかその……」


ナニが荒ぶってるので動けませんと言える筈もなく俺は収まるまで耐えるしかない。落ち着け、こういう時は素数を数えたらいいって偉い人が言ってた。そうだ落ち着け俺、我が心は明鏡止水。一点の曇りも無くせ。


「事情は分かりませんがここだと魔物に出くわしてその魔物を刺激してしまうかもしれません。村の方にも異常無かったと伝えにも行かないと行けない為出来ればここに長居はしたくありません。ですので私がおんぶしますので乗って下さい。」


そう言ってココアさんが背中をこちらへ向けてくる。今おんぶされるのは非常にマズイ。かといってこのままジッとしておくのも駄目だ。


あの2人は「俺たちがしてやれる事は何もない」といった感じだ。


どうやら俺も腹をくくるしかないようだな。


意を決して背中に身を委ねる。金具が当たってたて言い訳も出来るしな。


後おんぶされて分かったが、女性の格好をしてるが意外と肩や腰などの肉がしっかりしていて改めて男性という事を実感した。ただ髪サラッサラだし匂いってか同じ男とは思えない香りすんだよな。





村人に異常無かったと伝え帰路につく。流石に村人におんぶされてるとこを見られるのは恥ずかしい為降ろしてもらった。その時には俺もいわゆる賢者モードに入っており普通に立てるようになった。


ただこれ以降やけにココアさんがおんぶしたがったりするが何でだろう。ボクワカンナイ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ