5話 呪いの装備
大変お待たせしました。
拓海主点の話です。
「おやっさん来たよー。」
僕は街の工房の戸を叩く。僕がいるこの工房は、街にいくつかある工房の中で冒険者の道具しか扱ってない珍しいとこだ。
「あれ?留守かな。この時間には終わってるって言ってたからやって来たのに。」
何故この工房に来てるのかと言うと、昨日沼地のダンジョンへ行った時に宝箱を見つけてその鍵開けを頼んでいる。
何故沼地にダンジョンがあるのか、仮にダンジョンがあったら既に探索されていないのか?僕は最初に疑問に思った。 気になって知り合った冒険者などに聞き込みをして、この世界では時間にして1ヶ月ぐらいで地形が変わりその時にダンジョンが出来たりするらしい。何で宝箱があるかは分からないけどゲームの中だから深く考えないようにする。
で昨日宝箱を見つけて3人でじゃんけんして僕が貰うことになったけど3人とも鍵開けの技術がなくこうして工房に頼むことになった。
「扉の鍵は……空いてる。不用心だなぁ…。中で待っておこ。」
工房のおやっさんとは顔見知りだから勝手に入って怒ることはないと思うし、この時間には終わってるって言ってたはずだからすぐ帰って来るだろう。
扉を開け中に入る。周りは武器や防具。その他よく分からない鉄の塊などが並べてある。工房の机の上に宝箱があり紙の付箋に[たくみん]と書いてある。僕のだ。宝箱に手をかけてみると既に鍵開け済んでいるようだ。
「中身は何だろうな。楽しみ。」
本当のところ内心ウキウキである。多分今の顔ものすごくにやけてるかもしれない。あの2人がいなくてよかった。僕は宝箱を開けてみる。
「これは……チョーカー?」
中身は恐らく首に巻くあるであろう紐のような物がぽつんとあった。もっと中身があるかと期待してたが装備は嬉しい。見た目も中々好きだ。変なゴミみたいな物じゃなかったから良しとしよう。
僕はそれを手に取り首に付けてみる。姿鏡で自分の姿をみる。中々カッコいい。
と鏡で姿を見てたら工房の扉が開かれる。おやっさんが帰って来たようだ。
「あ、おやっさん。居なかったから勝手に入ってたよ。鍵開けありがとうね。中々いい装備かも。」
「おお、たくみんか…ッ。今すぐその装備を取れ!それは呪いがついておる!」
突如身体に異変が起こる。頭が割れるように痛い。身体が燃えるように熱い。やばい……意識が……。
「……おい……しろ……」
誰かが何か叫んでいる。
「おい!しっかりしろ!」
だんだん意識が戻ってきて目を開ける。そこにはおやっさんの顔があった。
「あぁ、すぐに目覚ましたみたいでよかった。とりあえずお前さん、鏡を見てみな。」
「えっ…」
僕は鏡をみる。そこにはおやっさんと女性がいた。僕が手を上げると鏡の女性も手を上げる。僕は慌てて自分の身体を確かめる。胸にはふにっと2つ山が出来ており、下半身にいつもある場所にある物がなくなっていた。
「お前さんがうつ伏せに倒れたあとミシミシと身体が音が聞こえて仰向けにしてみたらこうなっておった。」
僕は首の装備を外そうとする。だけど外れる気配は無く首が閉まって苦しい。
「宝箱の鍵を開け中身が呪いの装備じゃった為呪いを消す為神殿のディーネさんを呼びに行っておったんじゃ。だが今神殿を留守にしておって遅くなるようじゃ。」
遅くなるって事はしばらくの間はこの状態っていうことだ。まずい、この後あの2人と街で色々買い物する予定がある。あの2人にあったら絶対馬鹿にされる。
「扉を開けっぱなしで留守にしてたワシのミスじゃ。本当にすまん。鍵開けの料金はタダにする」
「いや…勝手に入った僕も悪いし…。」
「いや、この時間にここに来いと言ったのもワシじゃ。こういった商売上客に失礼あったらダメなんじゃ。何よりわしの気がすまない。」
「用事がないようじゃったらここで待ってても良いし用事があるようじゃったらディーネさんが帰ったら必ず伝えるようにする。用事が済んでなかったら家に書き置きを残しておく。」
おやっさんが気遣ってくれるが内心あの2人に対してどう対処するかどうかで頭がいっぱいだ。
「はぁ……本当どうしよ……」
男物の服でうろつくのもおかしいからおやっさんに頼んで娘さんの服を借りさせてもらい待ち合わせの場所へ向かっている。約束すっぽかすのは嫌だし仮にすっぽかした時場合2人のネチネチ口撃が待っている。
呪いのせいで見た目以外にも変化がある事に気付いた。見た目相応に筋力なども落ちているのである。
筋力というかステータス全般が落ちているのであろう。今の僕は恐らく結城以下である。ステータスだけならまだしも見た目も変わってるのは本当達が悪い。そのせいかさっきから通りすがる人達からチラチラ見られてるような気がする。いや僕の自意識過剰か。
そうこう色々考えてたら目的の集合場所付近についた。
2人は集合場所の近くのベンチに腰をかけ2人で何やら話している。僕は2人の近くのベンチに座り心の準備を整える。大丈夫、恥ずかしくない、視姦されても目を潰せばいい。僕は心の中で何度もそう呟く。そういえば2人は僕が居ない時どんな会話してるんだ?
僕は2人の会話に耳を傾ける。
「あの雲の中マジでラピュタありそうじゃね?」
「いや、あのサイズの中にはないな。雲の形はまあまあいいがな。」
「形はいいんだがなぁ。てか雲って近くではどんな感じなんだろうな。フワフワしてんのかな?」
「高校生とは思えない頭の悪いメルヘンチックな事言ってんぞお前。」
「いや、昔見てたアニメで秘密道具使って雲の食ってて美味そうだったから実際はどんな感じかなと思ってさ。」
「あー、俺もそのシーン見たことあるわ。確かに美味そうだったわ。わたあめ買う時今でもチラチラ思い出すしな。」
何て中身の無い会話してるんだこの2人は。
思わず吹き出しそうになっちゃったぞ。
「てか拓海遅いな。宝箱の中身開けてもらってから来るにしても遅すぎるぞ。」
「どっかで女にナンパでもしてるんじゃね?あいつむっつりだからそんなこと有り得ないはずだが。」
「それもそうだな。仮にナンパして成功してもむっつりだからエスコート出来ないで終わりそうだな。」
こいつら僕が居ないからって好き勝手言いやがって、誰がむっつりだ!確かにエスコート出来るかは不安だけど……
そうだ、いいこと思いついた。
「あのー、すいません。」
2人は突然声をかけられ驚いたようにこちらの方を見る。こちらを見た瞬間1人は嬉しそうに、もう1人は挙動不審に。
「どうしましたか?お嬢さん!」
「実は神殿に向かいたいのですが私この街に来たの始めてで道が分からなくて……。」
どうやらバレてないようだ。てか顔近い。
「でしたら私が道案内をして差し上げましょう。てことで結城……じゃなくてハオウここは任せた。」
「え、道分からないなら教えてやるだけでいいんじゃ……あ、いや分かった。」
結城に対して大輝の無言の懇願が届いたようだ。こっちの意思は完全無視だけど。
「ではお嬢さん、早速向かいましょう。お手をどうぞ。」
「あ、手は繋がなくて結構です。」
神殿に向かってる最中、大輝から鬼のように質問される
「お名前は?」「どうしてこの街へ?」「好きな食べ物は?」「犬派?猫派?」「納豆にネギ入れるタイプ?」「ケーキの苺最初に食べる?最後にたべる?」
「タケノコ派?キノコ派?」「色は何色が好き?」「海派?山派?」etc
とこのように質問責めで質問に答えると
「僕も同じなんですよ!気が合いますね!」
とこのように同調してくる。唯一タケノコ、キノコ派は曲げなかったがな。これだからキノコ派は。
と目的の神殿に着いた。
神殿に着いたがディーネさんはまだ帰っていないらしくあいつの目の前で呪い解いてもらって絶望させようと思ったのにな。なら別のプランだ
「ここまで案内ありがとうございます。とても助かりました。私こんなに優しい男性に会ったのは初めてです。」
僕はワザとらしく頬に手を当て目の前の野郎を褒める。
「ッ、お役に立てたようでなによりです!」
「ではまた何処かでお会い出来たら。」
僕は一礼し振り返る。
「ま、待ってください!」
きた。こいつなら絶対に呼び止めてくる。そしてこの後絶対に…
「あ、あの始めてお会いした時から運命を感じてました!自分とお付き合いして下さい!」
大輝は頭を下げ手を差し伸べてくる
よっしゃー!やっぱコイツならこうなると信じてた。
道中も会話にワザと気があるような仕草をしたり質問にもコイツに合わせて返事してた甲斐があった。タケノコ派は譲れないが。何より最期の頬に手を当てながらのセリフで堕ちたようだ。多分心の中で「あれ?これイケんじゃね?」とか思ってるんだろうなぁ。
僕は差し伸べられた手を優しく握る。下げてた頭をあげキラキラした顔でこっちを見る大輝の顔を確認してから
「お断りします。」
そのキラキラ輝く顔は一変する。まだだ、まだ笑うな。
「出会ってそこまで経ってないのにイケると思ったんですか?正直あんなにグイグイ来られると困りますよ。もしかして先ほどの私の言葉を聞いてイケると思ったんですか?あんなの社交辞令みたいなものですよ。場所も考えて下さい、こんな場所で告白とか周りに迷惑かかるでしょ。後キノコ派は無理です。それでは。」
僕は手を離し元来た道を戻る。後ろで何かが崩れ落ちる音が聞こえ「キノコがダメだったか…」と呟きながら。違う、そうじゃない。
僕は1人目のターゲットを陥れもう1人のターゲットの元へ急ぎ足で向かう。
もう1人のターゲット、結城は待ち合わせ場所で待っているようだ。さてこっちはどうしてやろうかな。
……よし決めた。
「ハァ ハァ すいません…」
「え、君はさっきの。さっき案内してくれた男性は?」
「実は途中で何処かへ行ってしまい再び道に迷ってしまったのです……」
「は!?あいつ何やってんだ。すいません連れが迷惑かけたようで。それで神殿でしたら…」
「あ、実は冒険者ギルドにも向かいたく先にそちらに行きたいんです…。そして出来ればそこまで連れてって下さいませんか?」
「あー、実は自分ここで待ち合わせしててここから離れる事が出来ないんですよね。全くあの馬鹿2人は何やってんだ。」
やっぱりそう来たか。けどそれは想定済みだ。
「そうですよね、ごめんなさい。迷惑かけてごめんなさい。」
と僕はグスグスと泣き真似をする。まだ昼間で人通りも少なくは無く周りからはヒソヒソと声が聞こえる。側から見たら男性が女性を泣かしてる構図の完成だ。自分で言うのも何だけどちょっと理不尽だね。
「へ!?ちょっと待って、あぁ分かりました。案内しますから泣かないで下さい。」
(まさか泣かれるとは思わなかったぞ。大輝が途中で放棄したせいで傷ついてるのか?いや、でもあいつ馬鹿だけどそんな事する奴じゃないはずだが…)
「本当ですか!?ありがとうございます!」
僕は結城の手を握り微笑む。
結城の顔は真っ赤に染め上がり目もグルグル縦横無尽に動いてる。刺激が強すぎたかも
「そ、それじゃ向かいましょうきゃ。」
「へー!ハオウさんって冒険者だったんですね!尊敬します!」
向かってる道中結城から話しかける事は無く僕がずっと話しかけ続けなければ無かったが後の事を考えるとこれでいい。今の僕は貴方に惚れてます的な女性を演じる。
一方結城の心の中
(やばいやばいやばい。何でこんな時にあの2人いないんだよ。緊張し過ぎて手汗がやばい。俺今臭くないよな?ちゃんと喋れてるか?はーもマジでやばい。語弊力が無くなるほどやばい。)
ギルドに着きソフィーさんに事情を話しこの装備を拾った沼地を気をつけるよう冒険者に伝える様にしてもらった。
冒険者の書によるとこういった呪いの装備がある付近は周辺の魔力が高くその周りにある物も呪いや体に良くない物が多いらしい。この世界にも魔王的な存在がいるらしく魔王もしくは魔王の手下などそういった存在が近いと周りもそういった空気になるらしい。だからあの宝箱を拾った辺りも結構危ない場所だったかもしれない。
僕は用事を済ませ結城のとこは向かう。流石に別れの挨拶はしてないから帰ってないよね?
僕は辺りを見回し見慣れた二人組を見つける。あれはココアさん?何やら話しこんでる様子だ
「それにしてもハオウさんがお一人なんて珍しいですね?お2人はどうされたんですか?」
「あの2人は今んとこどっか歩き回ってますね。自分は道に迷ってる人がいてここまで案内して来ただけですよ。」
「え!?そうだったんですか!ハオウさんってほんと優しいんですね。」
「いや、そんなんじゃないですよ。頼まれたから案内しただけです。」
「ふふっそんな謙遜しなくてもいいと思いますよ。あ、後もし良ければこの後2人で買い物行きませんか?」
「お、それならこの後あの2人と買い物行くんで一緒に行きますか?」
へー、ココアさん相手ならキョドらずに普通に喋れるんだ。いやあの人男だった。楽しそうに話してるから行こうか迷ったけどまぁいいか
「おまたせしましたハオウさん。とっても助かりました!」
「? ハオウさん、そちらの方は?」
「あ、こちらはさっき言ってた道案内してた人ですよ。」
「へー、女性の方だったんですね。」
ココアさんがこちらを見てそのままジッと観察するように見続ける。バレないよね?
「はじめまして、私はハオウさんの冒険者仲間のココアと申します。」
ココアさんはニコっと微笑みかけてくる。よしバレてないようだ。
「あ、私はカエデと申します。よろしくお願いします。」
カエデという名前は大輝の妹の名前だ。ちなみに大輝の時には町内会でよく会うおばあさんの名前を使わせてもらった。
「こちらこそよろしくお願いしますカエデさん。ハオウさんとても親切な方だったでしょ?」
「はい、とっても親切で優しく私一目惚れしてしまったかもしれません」ポッ
とワザとらしく頬に手を当てそんな素振りをした瞬間、辺りの気温が一気に下がったような感覚に襲われる。1人は顔真っ赤でニヤケながら困惑してるようなよくわからない表情してるがココアさんの方は真顔、その表情では一切の感情を読み取れないほどの。
もしかしてこういう冗談大っ嫌いなのかな?多分そうなんだよね、うん。
「ハオウさんとても優しいですもんね。私とかとても落ち込んでた時期ハオウさんのお陰で救われましたもん。」
「ちょ、2人共自分ホント恥ずかしいですからやめてください…」
結城がやめてくれと懇願してるがここでやめるわけにはいけない。
「私もあの時の手の温もりと力強さは今でも忘れません」胸に手を当て
突如ココアさんが結城の両肩を掴み向かい合わせる。突然の事と純粋に筋力のステータスが負けてるせいで結城はなすがままにされる。
「ハオウさん。今の事詳しく聞かせてください。」
「え!?いや、あの。」
「あ、すいません。僕急用思い出したんでこれで失礼させていただきます。」
僕は一礼し回れ右してギルドから出る。修羅場から逃げ出すように。
ギルドを後にし今現在工房の方へ向かっている。
かなり時間も立ったことだろうし流石にそろそろディーネさんも戻って来てもいいはずだ。
こういう時スマホなどの携帯電話があれば楽なんだけどこの世界にはそういった電子機器はない。
ただスクロールを使えば対象の相手にメッセージを送れるがあくまで送られる場所はその人物の拠点としてる場所、家もしくは仕事場に送られるようになっている。FAXみたいな物かな。
曲がり角を曲がり工房が視界に入った時入口におやっさんが立っているのが見えた。あちらもこちらに気づいたようでドタドタと走ってくる
「おお、たくみんか。先程神殿訪ねたところディーネさん帰っておられたぞ。話も付けておいたからすぐにでも呪い外せるはずだ。」
そこからはトントン拍子で事が済み晴れて元の男の姿に戻る事が出来た。呪いの装備の方だがあくまでいつでも取り外すように出来るようになるだけで効果はそのまま残る。装備外したあと壊して処分するかそのまま装備品として使うかが一般的らしい。
僕は特に必要とは思わなかった為壊そうとするが
「壊すならワシに譲ってくれんか?」
おやっさんが止めに入る。
「いやなに、その装備がどんな効果か詳しく知りたいだけじゃ。女性が装備した場合やステータスはどう変化したりするかとかな。」
そういう事ならと僕は別にいらなかった為おやっさんに渡す。
災難も過ぎた事だし僕はおやっさんに別れを告げ急ぎ足で待ち合わせの場所へ向かう。待ち合わせ場所には大輝と結城、それとココアさんが待っていた。着いた時事情を説明し結構小言言われることを覚悟していたが、
「まぁ何かトラブルあったんだろ、なら仕方ない。」「だな。」
あれぇー?
その後4人で買い物に行ったが買い物中はいつも通りの2人に戻ってた。何だ気のせいか
ココアさんは待ち合わせ場所で待ってる時に会って一緒に買い物する事になった程らしい。
本当はギルドで約束してたけどその事を僕が突っ込んだらおかしいので知らんふりする事にした。
買い物も済みココアさんとも別れ家に着く。
いつもなら外食しようと言ってくる2人だが今日は家で飯作ると言ってきた。
「俺様特製、手作り巨大ハンバーグの完成だ。どうぞ召し上がれ。」
そう言って大輝が気取った動きをしながらテーブルに並べていく。
「おぉー美味そうだ。まぁ焼けば大体の物は美味くなるからな。」
「まぁ否定は出来ん。」
実際大輝の料理スキルは高く、本人曰く「料理出来たらモテそう」という理由だけでここまで上手くなったらしい。
料理を並べ終わり料理を食べながら今日あった出来事やくだらない事などを談笑する。
「それにしても装備した瞬間全身が動かなる装備とかやべぇな。上手く使えば悪用できそうだが。」
「とんだ変態野郎め、俺に近づくな。」
「敵相手にって事だよ!お前の頭ん中の方がやべぇんだよ!」
この2人にはあの装備の事はこう伝えてる。ネタバラシする訳にはいかないしね。
「ところで拓海、その装備はおやっさんに渡したか?」
「? うん、渡したけど。」
「そうか」
何でそんな事きいてくるんだ?まさか本当に悪用するつもりじゃ……それは流石あり得ないか。
食事を終え洗い物をしようとするが、急に眠気が襲ってきた。日もまだ沈みきっておらず寝るのには早過ぎる。今日色々あったせいで身体が疲れてるのかな?
僕は2人にとても眠く部屋に戻る事を伝えキッチンを後にする。部屋に戻ろうとする時2人の顔がニヤけてたような気がしたが眠すぎる為それどころではない。
僕は寝室に入り服を脱ぎベットに突っ込むように寝転んだ。風呂は明日朝一に入ろ。それと2人にはちょっとひどい事しちゃったから何かお詫びしないとね。
そんな事を考えながら僕は深い深い眠りに入っていく、奴らの陰謀をいざ知らず。
外から鳥のさえずりが聞こえ瞼を開ける。
長い時間寝たお陰か身体も軽く感じる。
僕は寝た状態で思いっきり背伸びをする。と右手に何かぶつかり、何かと確かめる。
「やぁ、お目覚めかい?ハニー。」
一瞬僕の中で時が止まったような気がした。いや、何で結城が隣に寝てんの。しかも全裸で。
僕はただの悪ふざけと思い起きようとするが異変に気付く。何故か僕も全裸だ。それよりも1番問題なのが何故か女性の姿。呪いの装備の姿だ。
僕は首元を確認する、そこには昨日おやっさんに渡した呪いの装備がしっかりと着いていた。僕は急いで外そうとするが外れない。
なんで!?昨日呪い解いてもらった筈なのに!
装備を外そうと四苦八苦してた時両肩をガッと鷲掴みされる。
「さぁ、昨晩の続きと行こうか。」
僕の記憶では昨晩すぐに寝た記憶しかない。
「待って!僕だよ、拓海だよ!ほらこれが昨日言ってた呪いの装備なんだよ!」
「拓海のやつからは全身が動かなる呪いと聞いていた筈なんだけどな。それよりも…」
結城が僕の耳元まで近づき
「俺の前で他の男の名前を出すのはイケないな。」
「ぎぃやぁぁあああ!!!!」
耐えられなくなった僕は結城を突き飛ばし寝室を出ようとする。ゴッと鈍い音が聞こえたがそれどころじゃない。早く服着て装備を外さないと!
僕は勢いよく寝室の扉を開けたがそこには、
「ご機嫌よう、マドモアゼル。」
扉の前で待ち構えてたのは、紳士のようなお辞儀で出迎える大輝だった。しかも全裸で。
僕はふざけてるうちに逃げようとするが回り込まれる。呪いの装備のせいでステータスが落ちてるせいだ。だから目の前のコイツは今の僕にとって凄い身体能力が高い変態だ。
「俺を忘れてもらっちゃ困るぜ。」
後ろからは額からうっすら血を流してる変態が。
2人は不敵な笑みを浮かべながらジリジリとこちらに近づいて来る
「マジで来るな!いや来ないで!ごめんなさい!だから来ないでぇぇ!!」
今のこの状況とにじり寄る2人の圧により拓海の脳の処理が追いつかず意識が飛んだ。
「やっべ!やり過ぎちまった。おい拓海しっかりしろ!おい!」
「泡吹いてんじゃねぇか! と、とりあえずベットに寝かせるぞ。」
「……はっ!」
意識が戻った僕はベットから飛び起き周りを確認する。あの2人はどこだ。
「お、やっと起きたか。」
2人は先程と違い服も来ており荷支度をしてる。
「ふ、2人とも何してるの?」
「何ってそりゃ今日の冒険の準備だろ。昨日買い出し行っただろ?」
「てか拓海が寝坊するって珍しいな。昨日早めに寝てたし身体の調子でも悪いのか?」
2人の様子はさっきまでの出来事とは違い普段通りだった。僕の身体も男の姿で服装も昨日寝た時の姿だった。
じゃあさっきまでの出来事は実は夢だった?いや、夢にしてはリアリティが強すぎた。けど2人の様子は普通だし装備は取り外し可能になったはずなのに取れなかったり色々と混乱してきた。
「おーい、ボーッとしてまだ寝ぼけてるのか?」
「拓海ちゃんまだねんねしたりないのぉ〜?」
正直今でも疑心暗鬼なんだけどこのまま考えても仕方ない。あれは夢だったと割り切って忘れよう。多分昨日の行いの罪悪感でそんな夢見てしまったんだ、そうに違いない。
僕はささっと着替え済ませ仕度を済ませる。先に準備していた2人は先に食事をしており僕も遅れて食卓に座る。
食事中やはりさっきの夢の方が気になり冒険前に工房に寄りあの装備の有無を確認しようかと色々考えていたら、
カタカタッ
この音は家にあるFAX的なやーつからメールが来た音だ。
僕は席を立ち、届いた内容を確認する。
「
俺にも写真分けてくれ
ああああ より 」
なんだこれ?と思ってたその時大輝からその紙を取り上げられる。
「すまんすまん、これは俺宛のようだ。拓海は気にしなくていいぞ!」
大輝は明らかに焦っており何か隠しているのは明らかだ。何を隠してるのか聞こうとする前に
カタカタッ カタカタカタッ
と続けざまにメールが送られてくる。その内容はどれも「写真くれ」の一点張りだ。
「おい、この写真とは何のこと?説明してもらおうか。」
「い、いや えっと…」
問いかけてるとカタカタッとまた一通メールが届いた。ココアさんからだ。
「
写真確認しました。昨日の女性は本当にたくみ
んさんだったんですね、疑ってすみません
ただ何枚か際どい写真があったんですけど
大丈夫だったんですか?たくみんさん寝てる
みたいですけど…
先程ギルドのみんなに見せたら皆さん
ギルドに置いてある機器でメール送って
るみたいでしたけど私もしかしてまずい事
しちゃいました?
後もしよろしければその装備譲ってもらえ
ませんか?お金ならいくらでも払います。
ココア より 」
大体の事を察した僕は大輝に何故こうなったか問いただす。大輝も観念したのか全て話した
内容としては、神殿前で振られて道の端に横たわってた所親方に出会いそこで先程の女性が拓海だったことを知る。その後結城と合流し結城とココアさんにその事を伝える。
一応念の為それが本当か確かめる為僕が寝た後親方に例の装備を借りて僕につけたらしい。
で今朝の出来事は夢ではなく、純粋な男心を踏みにじられたからその復讐だったらしい。
結城にも聞こうと思ったが居なくなっており恐らく怒られると思いどこか隠れてるのだろう。
「大体の事分かった。けど僕は怒ってないし昨日の出来事を考えると全面的に僕が悪いね。ごめんね。」
「いや、俺も復讐とはいえ朝の出来事は流石にやりすぎた。すまんかった。」
「いやー俺も本当に悪かった。ココアさんの誤解も解けたみたいだしよかったよかった。」
僕が怒らない事を察してどこか隠れて聞いてた結城も出てきて謝ってきた。その事が可笑しくて声を出して笑ってしまう。釣られて2人も笑ってしまう。これまでの一連の出来事なんて笑って水に流そう。
「あ、でも撮った写真は処分しといてね。恥ずかしいからね。」
笑ってた2人がスンッと笑い止み僕から目をそらす。
「おい」
「いや、ほら色々使い道とかあるかもしれないし一応残しててもいいかもなーって。」
「何に使うんだよ」
「ナニに使います」
この後起きる出来事は読んでる人のご想像におまかせします。
大輝は「思春期真っ盛りの高校生なめんな」と逆ギレしてる模様
最後のオチは色々迷ってこんな形になりました。
後こうした方が読みやすいよってアドバイスなどありましたらコメントよろしくお願いします。
コメント来たら死ぬほど喜んで死ぬかもしれませんが。