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第697話 一騎当千! (8)
「……ん? そうなのかい?」
ライは不思議そうな顔をするから。
「うん、そうだよ」と僕は言葉を返して。
「この世界にだって、うむ、言わせず、僕は藍華姉の強制召喚によって強引に連行された訳だからね。きたくて、この世界へときた訳ではないからね」と苦笑を浮かべつつ不満を漏らせば。
「そうなだね、知らなかったよ……。これだけ一族内でも有名になった王さまだから、自ら藍華達の婿になるのを志願してきたのかと思ったけれど。違うんだね。それは知らなかったよ」
ライは僕の不満を聞き、少しは同情心を募らせたような顔をしてくれた。
しかし直ぐに彼女は顔色を変え、ニヤリと微笑むと。
「……でもいいじゃないか、一族の綺麗どころのほとんどは、自分の物にして抱きに、抱きまくったのだから、他の男達から見れば、大変に羨ましい限りだと思うが? ──実際響きの奴の謀反だってシルフィーの奴が原因で皇帝陛下さまへと刃を向け、討ちとられた訳だから。次は私とライザであろう、皇帝陛下さま?」




