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第584話 逃走(26)
まあ、ジタンはこの通りだよ! 何処で覚えたかは知らないけれど、日本では昔馴染みの台詞……。
まあ、高祖辺りが昔流行らしたのかな~? と思うような言葉を負け犬キャラらしく二人……。エリエとヒビキさんへと告げれば。自分の愛鳥の手綱を引き、緩め──。「はい! どう!」とかけ声をあげる。
「ま、待たれよ! ジタン殿! エ、エリエに自分の背を向けてはいかん! いかんぞー! ジタン殿ー!」
この場! エリエの許から慌てて逃避行をしようと試みるジタンへとヒビキさんはあいつに背を見せる隙を与えてはいけないと、自分の声を大にして叫び、諫める。
でもジタンは、とにかく生き延びたくてし方がないから、ヒビキさんの諫めに対して聞く耳を持たないし、自分の愛鳥のミュイの足の速さにも自信がある。
(馬鹿か~、ヒビキは~! 自分の命がかかっているのに待てと言われ、待つ奴が何処の世界にいるのだ~! あの男は阿保なのか~?)
ジタンは自分の脳内で悪態をつく。
でも彼のヒビキさんへの悪態はこれで終わる訳ではなく。