第542話 アイカ無双! (1)
「それは誠なのか、ヒビキ殿?」
ヒビキさんの自分への説明の仕方……。彼の様子がいつもと違うことにやっと気がついたジタンは、己の顔色を変え、彼へと尋ねた。
「ええ、そうです……。だからアイカがこちらの位置に気がつくまでに一気に逃げれるところまで逃げましょう、ジタン殿……」
やっとことの重大さに気がついてくれたお坊ちゃんに対してヒビキさんはほっと胸を撫でおろし安堵するのだった。
◇◇◇
第542話 アイカ無双! (1)
「では行きますか、ジタン殿?」
「ええ、判り申した」
敵軍の先頭の二人……。先ほどまではやる気十分……。勝つ気十分……。負ける気などサラサラない……。
そう僕を北伐のゲリラ戦に誘い出し、王都をもぬけの殻とまでは言わないけれど。堀や兵もない王都や神殿に対して、自分の娘が不満を漏らしてしまうほどの少ない兵……。
そう自分の妃達に十分な守備兵も与えずに王都を留守にした僕の裏をかく策が成功した歓喜して、勝利宣言と王都占領後の王の財産を山分け……。
誰が妃を自分の所有物にするかも、自分の顔を緩ませ、いやらしく微笑みながら決めていた二人と……。その他の国人領主達なのだが。




