第534話 両雄激突! (6)
遠眼鏡で他人の妃を卑猥な目で見ては、自分の顔を緩ませ、鼻下を伸ばし、捕らえた後に、あれしてこれして……。あれもさせよう、これもさせよう……。あんな卑猥なことをしてみたいなと妄想を膨らませていた西の君主、族長の連合軍の盟主ジタンと……。
そんな阿保でスケベな男を呆れた顔で見ていた副将・参謀のヒビキの二人なのだが。自分達の隊の後方で何かしらの爆発音と族長や兵達の断末魔が聞こえるから二人は仲良く恐る恐ると後方を確認する。
すると自分達が率いる軍の中腹や後方辺りで何かが炸裂、爆破する様子──!
それが原因で兵士達の屍が次から次へと増え、混乱して、刹那な状態へと陥る、地獄絵図と化しているのが、総司令官と副指令には見えるから、自分達の顔色が変わり唖然、呆然とした様子を他人に見せる。
だから遠眼鏡でまた二人の様子を窺っていたアイカは、その隙を見逃すはずはない。
「銅鑼を叩けぇええええええっ! 後方のフェイン総司令官に合図を送れぇええええええっ!」
アイカは自身が持つ青竜偃月刀を天空へと掲げながら凛と勇んで、部下へと指示を出す。
《ガ~ン!》
《ガ~ン!》
銅鑼を叩いた音色がアイカの大きな笹耳へと聞こえると。




