第485話 婚約? (5)
「今から誰かお父さんかお母さんを呼んできな~。ろくでなしが~、自分の思い通りにならないから、うちらにバイオレンスハラスメントをおこなうと言っているからって~」と。
僕の周り……。
そうワイワイ、ガヤガヤと喧騒している中から異世界の単語……。普通に日本語が使用され耳へと聞こえてくるから。
こいつらもやはりシルフィーや彩……。愛華にエリエ……。プラウムに沙羅……。ウルハ、フェイト以下ぐる、共犯者だな……。
僕に内緒事ばかりを作り、嘲笑い、侮る、お妃のことを許さない……。絶対にだ……と言うことはない。まあ、ないのだよ……。
そうマジで本当にこいつらの中に、普通の異世界冒険譚を覆す輩がいるかも知れない。
だってこいつらは七色の種族変化の魔法が可能な義父の血を引く娘達だから僕は怖くて仕方がないので。
「ご、ごめん……。僕が悪かったから父さんと母さんには言わないでおねがいだから……。そしてこの場に連れてこないで……」と。
僕は自分の娘の前で情けない様子……。自分の顔の前で両手を合わせ祈るように謝罪をした。お母ちゃん達に許してくださいと……。
「……ん? 仕方がないね~」
「今回だけだよ、あんた……」
「ろくでなしの亭主の癖に威張るんじゃないよ、あんた」
「子供達の面倒も女任せで放置している癖にさぁ~」と。
まあ、この他に遊び人の夫らしい僕に対して不満や中傷する言葉が続くから。僕がペコペコと頭を下げていると。
「母ちゃん~、それはそうと? うちに何の用?」
沙紀が自分の母親へと怪訝な表情で尋ねるから。
僕への中傷、批判は終焉を迎える。




