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第438話 近衛騎士団の不満? (5)
そう空咳が僕達の耳へと聞こえるから。この部屋に居る者達は一斉に顔色を変え、恐る恐ると部屋の出入り口へと顔の向きを変え、視線を送り──各自各々が唾を飲み込み『ゴクリ!』と喉を鳴らし、にへらと微笑みながら空咳の主を見詰めると言った。
まあ何とも言い難い緊張が部屋の中で漂う中で僕は空咳の主──アヤと目が合い、ジロリとあいつに睨まれ。顎でクイクイと無言の指示……。
『あなたを尋ねてきた者達のことをいつまで侮り、嘲笑いをする行為を辞め、挨拶ぐらいはしなさい……。一応は私や姉さんの従姉弟達もいるのだからと言った振る舞いで無言の指示を受けたから。
「やぁ、みんな元気かな? あっ、ははは」
僕は部屋にいるみんなの代わりに笑い手を振りながら、自分達の陰口、嘲笑いの悪態を誤魔化してみたのだった。
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