第285話 殿の命! (3)
だから私は「うん」と頷くと。
「ウォンとエルムはこのまま、逃げる敵兵を食い止めつつ、足止めの方を頼む」と嘆願をする。
「……ん? 別に構わんが……」
「エリエ、あんたは、どうする気だい?」
私の下知を聞き、二人は首を傾げる。
そんな二人に私は、御方からの命を説明する。
「御方が私に敵の領主の首を必ず上げるようにとの指示がでたから。先程敵陣を走り抜ける最中に見た。敵の領主を探し、首を上げてくるつもりだ」と告げる。
「エリエ、一人で行くのかい?」
私の従姉ではあるのだが、姉にも当たるエルムが怪訝な表情で尋ねてきた。
「ああ、そのつもりだが。どうかしたのか?」
私はエルムに言葉を返せば。
「エリエ、いくらあんたの武が優れているとしても、少し無茶じゃないかい?」
エルムは私の身を案じてくれるのだが。
「まあ、敵の方は御方達に後方を叩かれ、浮足だっているから問題はないだろう?」
私はエルムに淡々と告げると。
「御方も私ならば出来ると見て下知をくだしてきたのだから。やらない訳にはいかぬ。私達は、これ以上御方の信用と信頼を落とす訳にはいかん!」
私の身を案じてくれているエルムに、このように告げれば。




