第27話 主夫ですから仕事を始めます(1)
「健太~、チビたちのために布団を干しておいて~」
「はいはい、わかりました、お妃さま……」
「御方~、布団は干すだけじゃなくて、ちゃんと布団叩きで叩いてダニを出しておいてね。美鈴たちが疥癬になったら大変だから、お願いよ~!」
「はいはい、わかっています……。それくらい知識はぼくにありますからだいじょうぶですよ、お妃さま……」
今日も「チュンチュン」と、神殿の外からはインコのような派手な色の可愛い小鳥たちの囀りが聞こえ、窓や入り口からは、朝日がよく差し込む謁見の間……。
アイカやシルフィー、プラウムちが、このウィングル王国の政……民のために祈祷を行う、神社などによくある祭壇付きの大きく広い部屋でね、ぼくは《《主夫業》》……。
そう僕は数日前に妃さまたちと分かり合えた! 仲良くできた!
というか? 御妃さまたち曰く、ぼくは婿養子のくせに自分たちに種付けだけして子供たちを放置し続けていたらしい。
それなのに日本の高等学校と言う名の学舎では彩と通う中……。
学園の女子たちからぼくは『高杉カッコいい~!』、『健太可愛い~!』、『彩~、別れたら健太をちょうだいね~!』とまで言われるくらいには人気があったらしく。
それが《《トリプル藍華姉ちゃん》》の耳に入ったようで、義父の計画では僕が大学を卒業し、立派な社会人になった暁には、代議士の秘書として形だけ雇い、婿養子として異世界へ強引に連行して、義父の広大な夢の続きを託すつもりだった。
そして僕はこの世界の神! 魔王! 勇者になる予定だった!
しかし婿養子の現実はそう甘くはなく、今の僕はなぜか神殿の廊下を【日本の布団】を一枚ず抱えて運び、歩いている。
そう神殿の外にあるテラス……いや、踊り場と言ったほうがいいのかもしれない。
そこに設置された【物干し竿】へ布団を干すという【主夫業】を、義父の領地拡大の夢とは無関係に淡々とこなし続けている。




