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第215話 女神シルフィー(3)
コイツが僕をこんな太古のジャングル世界へと召喚しなければ。
僕は日本で普通に幸せに暮らすことができたのに。
だからコイツだけは、僕は許さないと、言いたいところだけれど。
何故か僕は、アイカの集落にいた時から。
このダメ女神だけには本当に強く。
コイツと二人きりの時だけは。
僕も本当の自分をだせていたから。
コイツがギャギャ喚こうが、僕は無視しつつ。
アイカの集落にいたメンバー達にも。
「お前達もアイカの阿保に頼まれたのか? 僕のことを守るようにと? あの、阿保に?」と。
シルフィーを警護? してきた。
アイカの集落の男戦士達へと。
僕は以前とは違い。
この領地の領主らしく、彼等のことを鋭く睨みつけながら尋ねる。
「いいや」
「俺達は違うよ。男王……」
「なぁ、皆?」
「うん」
「ああ」と。
僕のことをアイカの集落で苛めていた者達は。
慌てて僕の目から視線をずらしつつ。
各自各々が首を振れば。




