第144話 肖像画(9)
「凄い!」
「素晴らしい!」
「これが絵なの?」
「異世界の絵って、こんなに美しく、素晴らしいものなんだ!?」
「あんたぁ~、うちの絵も描いておくれよ~」
「いや、俺だ~! 俺の絵を描いてくれぇ~!」と。
僕が最後の描いた姫さま……。
フェインの人物画は僕の人生最大の傑作だと、自負しているぐらい真剣に描いたものだから。
僕はもう駄目だ。
気力もなくなる。
だから僕の腹部の下にある物も。
勢いが無くなり、小さくなっていくから。
僕の意識が遠退いていく。
だからフェインが、この絵で駄目だと。
僕を捨てるというならば。
僕はもう人生の終焉を迎えてもいいよ、と思う。
まあ、一度だけだが、形だけでも僕は結婚の方もできた、式も挙げることができたから。
僕はもう思い残すことはないよ。
だからみなさん、さようなら。
また来世で……。
今度は日本で会いましょう……。
う~ん、それにしても、あの阿保?
シルフィーの奴は、僕をこの世界に何故、召喚をしたのだろうか?
別に僕でなくてもよかったはずなのに。
それにさ?
こんな原始的な世界に召喚しなくてもいいのに。
僕はもっと中世的な世界で、モンスター達を討伐するような。
冒険者がいる世界で。
僕は冒険者になり。
仲間達と旅をするような世界がよかったぁ、と。
僕はまた凝りもしないで嘆けば。
僕はシルフィーに対して、他の人にしてくれればよかったのにね、と思い。
僕は、ああと、嘆きながらあの世へと向かう。
◇◇◇




