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第139話 肖像画(4)

 僕は泣くつもりはなかった。


 でも姫さまの顔と目を見ながら嘆願していたら。


 また僕の両目から涙の大粒が流れてきたけれど。


 僕の肢体は相変わらず木に縛られた状態だから、涙拭くこともできない。


 僕はそのままポロポロと涙を流しつつ、姫さまに命乞いをした。


 木に何度も僕の頭を当て、下げ、しながら、額から血を流しつつ告げ、続けた。


「うん、わかったは、貴方……。じゃ、書いてみて。私の肖像画を……。近代的な異世界の《《絵》》と言う奴で……。もしも、私がその絵を気に入れば。私の師として貴方のことを生かしてあげる……。それで良いよね? あなた~?」と。


 姫さまは最後に僕から、自身の父である王さまへと。


 僕の提案を了承してよいかと尋ねる。


「……ん? う~ん」と。


 王さまは最初は、姫さまの提案を呻り、余りよい顔をしなかった。


 でも姫さまがジロリ! と睨むと。


 何故か王さまは、自身の顔色を変え。


「ああ、フェインお前がそれで良いのならば。好きにしろ……。その男はお前にやる」と。


 王さまは苦笑いをしながら諦め口調で、自身の娘に任すと告げる。


「お前達、その子を離してやれ」と。


 だから王さまは、丸太に縛っている僕を解放してやれと告げてくれたから。


 僕はドスン! と音を立てながら地面に落下する。


 『うぅ、うううっ。痛い』と、僕の口から悲痛な言葉は漏れない。


 そう漏れなかったよ。


 もう既に僕の身体、骨の芯まで痛くて仕方が無い状態だから。


 僕の身体が地面に勢いよく。


 僕の体重を乗せ落ちようが痛みを感じないから。


 僕は直ぐにフラフラと立ち上がり。



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