第106話 家出(4)
「はぁはぁはぁ……」
う~ん、でもさ、やはり歩くと。
僕は喉も渇くし疲れたなと弱音を吐いてしまう。
先ほどアイカに、お前等の助けなどいらない。
僕は自分一人で生きる!
だから僕に二度と触れるな!
アイア!
お前なんか、大嫌いだ! と。
僕は怒声を吐いたのに。
もう、この通りで。
「はぁ、疲れたな……」、
「まだ町には着かないのかな……」と。
僕はまた嘆き、弱音を吐いてしまうような情けない男……。
アイカの庇護下で呑気に主夫業──。
家の家事と種付けだけ、してればよかった王さま暮らし。
そう、四人の妻達のヒモの亭主だった僕……。
狩りや戦にいく訳でもない情けなく、弱々しい僕だから。
集落の男性達に侮られ、嘲笑いをされるのも仕方がないことかもしれないし。
僕よりも男らしい奴等に。
性に対して解放的なオーク妻をあっさりと寝取られるのも。
僕は仕方がないことかも知れないね?
まあ、そんなことを僕は思えば。
自身の頭が前を向いて歩くことができずに。
「はぁ~」と何度も嘆息を漏らしつつ。
僕は下を向いて歩くことしかできない。
だから僕はドナドナと、自身の背から哀愁漂わせつつ歩けばね。
(……ん?)
(あっ!)と。
僕は自身の足に違和感が生じる。
「あぁ、あああっ!」、
「うっ、わわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわぁ~!」だよ。
そして「な、何? 何なんだぁ~? これわぁあああっ!?」と。
「うそだろう~?」、
「冗談だろう~?」
僕は自身の口から絶叫を吐く。
それも僕の身体は地面に対して逆さ!
僕はブラブラと宙吊り──。
そう、僕はどうやら獣を捕らえる罠にかかり。
自身の身体が、宙ぶらりんになったみたいだ。
◇◇◇




