第104話 家出(2)
僕自身が一番情けないと思っているのは。
僕とアイカの結婚歴はまだ一年未満なのだ。
だから僕達夫婦はまだ新婚と変わらない状態なのに。
僕はアイツに浮気をされてしまって悲しいと思う気持ちもあるけれど。
僕自身が一番悲しく切ないのは、アイカの口から。
僕のことを始末……。
そうアイツの口からウォンへと殺す、死ぬのを待っていてくれと言った台詞が漏れたのが切なくて悲しい。
それとアイカが間男ウォンとの優艶な絡み合いの最中に。
夫である僕のことを平然と軽視した台詞を。
アイカは甘え声音で漏らしたのも許さない。
だってこんな弱い男の僕でも、アイカの主人でもある!
特にサレ妻! サレ女! ビッチなアイカの奴は! 【主人】の漢字を思い出してみろ?
主と人だぞ!
そう僕は、アイカの絶対的な主様なのだ!
なのに、アイツは僕のことを他人の目の前で平然と嘲笑い! 侮り! 蔑み! 中傷してきた!
だから僕はアイカのことが。
くそ、くそ、くそ、歯痒い。
アイツは主である僕のことを散々なめやがって!
クソ~、本当に歯痒いなぁ……。
まあ、僕自身何度も嘆き、愚痴を漏らすけれど。
本当は大変に弱い僕自身が、どうしようもない男だから。
情けないやら、悔しいやらで。
僕自身もどう表現して、言葉にしたらよいのか解らないのだと?
僕は自戒をしながら、ついついと嘆いてしまう。




