ある夜の夢
中学校のときに国語の授業で書いた作文をリメイクしてみました。なんとなく気恥ずかしいですが、よんでみてほしくも思って投稿しました。一応本当に見た夢をもとにしてます。よろしくどうぞ!!!
夢を見た。
僕は走っていた。理由は無い、いや在ったのかもしれない。在ったとしたら忘れたのだろう。そんなことは今ではもうどうでもいい。
ここはどこだ? 回りを見渡すと、そこは下水道のようだ、なぜ下水道? そう思ってみても走ることをやめる気にはならない。
心の中さえも無言で走った。そうして気づいた、耳を澄ますと自分以外の足音が聞こえる。
そして僕の脚はどうしたのか、その足音を追っていた。足音を追っている理由も忘れた。
でも脚は止まる気配を見せない。当然僕の脚だ、止めようと思えば止められる。でも動いているのはほとんど無意識。それに此処で止めたら何かが終わる、そんな気がした。
考えすぎだろうか? この世に考えすぎなんてあるのか? こんなこと言っていたら、人生短く終わりそうだな、そんなことを思う。
それより、今から自分はどこへ行くのか、その心配をするべきだろう、いつまでも足音と鬼ごっこしているほど暇じゃない。
現状確認。今分かっているのは「目指すべきは足音」。
確認にさえならない。
手に僕は何かを持っている。それは薄暗い中で銀色に輝いていた。それを僕はナイフと認識した。
もしかしたら違うかもしれないが、ナイフと思った時点でこれはナイフ。僕はこれをナイフとして使える。
これで分かってることは2つ。そしてこの2つから気づいたことが1つ。気づいたのではなく思い出したと言うべきか。
残念ながら、気づいたのは理由ではなく、目的なのだが。まあいい、どんなことだって知っていた方がいい。知らない方がよかったなんて覚悟が足りないだけだ。
ただ残念なのは、その目的に至った理由が思い出せないこと。理由があってこそ結果がある。
結果だけ残ることを偶然と呼ぶ。だが僕が走るのは偶然ではない、むしろ必然。
理由は未だ思い出せない。でも走っていたのは僕の意思だ。
走るペースが上がった。もしかしたら僕がことを思い出す度に速くなるのか?
そんなことはない。なぜなら、記憶力と脚の速さは全く関係ないからだ。当然だろう?
しかし、この間にも足音はどんどん大きくなっている。僕とあいつが近づいている証拠、僕はもうすぐ終幕を迎えることにこの時に気づいた。
ゆっくりと足音の主の背中が見える。背は僕と同じぐらい、体型も結構、僕に似ている。さあいきますか、理由を知らないことを悪くは思うが。
これは必然で、僕の意思だ。
ナイフを握り締めて、僕はそれを突き出す。
その瞬間に、僕はすべてを思い出した。もう少し早く気づくべきだった。
僕はナイフで刺される。僕は僕、この物語は僕1人の話。
下水道は僕自身の汚れた心。僕は自分のことが嫌いだった……。殺したいと思った。
でもそれは自分を殺すことだった。でも、後悔は無い。
目的は叶えられた…………。
ここで目が覚めた。