↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

暇人本棚

信じてる

作者: 灯月樹青
掲載日:2008/02/02

あなたなら、待ちますか?

「待ってて」

そういって彼は去った。

「いつか戻ってくる」

そういって彼はいなくなった。

もう何年も待ち続けてる。

友達に言ったら、

「それって待ちぼうけじゃん!」

そう言われたけど、

それでも探すことなく私は待った。

彼の言葉を信じて。

ただ、待ち続けた。

手紙を――。

電話を――。

連絡を――。

彼自身を――!

でも…、

どんなに待っても、

電話の前で祈っても、

郵便受けの後ろで拝んでも、

彼からの連絡は何もなかった。



月日はゆっくり流れた。

彼と出会ってからはじめての、

彼のいない誕生日、クリスマス、初詣。

どれも我慢できた。

「戻ってくる」

って約束したから。

でも…、

いつからだろう。

待つことが出来なくなったのは。

いつからだろう。

待つということが苦しくなったのは。

いつからだろう。

「それって…振られたんじゃない?」

何年も聞き流すことが出来た友達の言葉が、

胸を指すようになったのは――。

いつからだろう。

「そんな奴のこと忘れて新しい恋しなよ!」

そういう友達の言葉に光を見るようになったのは――。

いつからだろう。

新しい恋をしてみようと思ったのは――。

でもそんな時、

必ず彼の顔が浮かぶ。

約束どおり帰ってきた彼が、

ショックを受けている姿が…。

(待ってて…っていったのに…)

そういいたそうに、

私を見つめる彼の顔が――。

そこでどうしてもまた思いとどまる。

「もうすぐだよ」

「もうすぐ彼は帰ってくる」

そう、自分に言い聞かせて――。

何の連絡もない彼を、

ただただ待っていた。

待つごとに疑う気持ちは生まれたけど、

彼の言葉だから、

好きな人の言葉だから、

信じることが出来た。



そう。


     ――あの時までは――…。




その日私はなんとなく、

彼とよく行った波止場へと歩を進めた。

今考えればあれは、

――予感――

だったのかもしれない。

よく夕日を見ていたその波止場に着いたとき、

私はもしかしたら幸せだったのかもしれない。

だって、

彼の姿を見たのだから。

偶然か、

必然か、

神様の悪戯か。

そこには彼がいた。

ずっと、何の連絡もなかった彼が――。

――見知らぬ女の人と共に――。



彼はびっくりしたんだろう。

私の顔を人目見て、後は瞳を合わせようとはしなかった。

そのことで、目の前のことが現実だと知った。

夢ではないのだと。

その時、私の中で何かが弾けて消えた。

「あぁ、そうだったんだ」

気づいたら口にしていた。

頭も感情もすんなりと、本当にすんなりと目の前の現実を受け入れた。

それと同時に湧き上がる、怒り。

女の人が憎いとは思わなかった。

感情の矛先は、信頼を裏切った彼にのみ向かった。

女の人の方はなんだかわからないのだろう。

きょとんとしていた。

「結局友達の言ってた通り、ただの待ちぼうけだったんだ」

言葉に毒があることには気づいたが、言い直そうとは思わなかった。

瞳はまだ私と瞳を合わせようとしない彼を刺すように見ていた。

「あんた何年?何年で乗り換えたの?人を待たせといて」

声音は静かだった。

何年も付き合っていた彼には、私がとても怒っていることに気づいているだろう。

感情を表にだす私が本当に怒った時にのみ、それがフッと切れることを知っているのだから。

「――ロクデナシ――」

私は呟くようにそういうと、踵を返した。

きっとこの場所にはもう来ないだろう。

彼と初めて会ったこの場所には…。

思い出がたくさんあるこの場所には…。

今になって涙が溢れる。

彼を疑う自分を戒めていた自分が許せなかった。

平気であの場所にいた彼が許せなかった。



後々振り返ってみると、私は彼を5年半もの間待ち続けていた。



私は今、恋をしている。

あんな男のことを引きずるなんて許せないから。

彼を思っていた時間は忘れようと思う。

あんな時間はなかったんだ、そう自分に言い聞かせた。

けれどどうしても、なかったことには出来ない部分があることも知っている。

あの男の裏切りから、どうしても信じられない。今の彼を信じることが出来ない。

いくら好きになっても――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] もうちょっと長いストーリーを考えてみてわどぉでしょぉか??とても同感できる物語でしたよ♪
2008/02/06 20:06 マドリーヌ
[一言] 結局言いたい事は?全然何が伝えたいかわからない。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。