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第↑幕

舞台「ローナ・グ・ラーラ」(戯曲)


登場人物


ガーランド(重金属眼多流)

…ティオト国の優れた兵士。


イズメルダ(藤本多英)

…かつてのガラン村の美女


クピット乙女オトメン(キューピットッ勾玉)

…キューピット


モナーリス(草村やんえ)

…ガラン区を統治するイゴメッダ国の兵長


イザベラ(草村美鈴)

…モナーリスの妹。美少女。


グ・サラーラ(浪藤吉藤吉浪)

…世界の果てにあるとされる涙の大河に佇む大男。


ローナス(西岡加奈子)

…涙の大河の向こう岸で、グ・サラーラと互いに呼び合う絶世の美女。


場面


ティオト国、ガラン区 及びローナ・グ・ラーラへと向かう道すがら

序詞


(序詞役(勾玉)登場)

ああかつてのガラン村の

遥か武勇の帝国ティオトとの

僅かばかりの喚起さえ

背筋も凍る数多の呪怨の縁起の宿る。

ああ今はイゴメッダ国の統治して

ティオトの名家にとってみれば

呪いの由縁はうやむやに

立ち消えたかに見えたとて、

しかしガランの娘に透けて見える

崩壊と死滅の情景は

国の隅々にまで深々と

根付いて消えるものでなく

うやむやに消えたかのように

思われたのはただ夢のごとく

瞬時の甘い幻想とて

やがては霧のようにありありとした世界へと

晴れ渡ってはやはり立ち消えていくばかり…



第↑幕 


ガラン区より幻想の地、世界の果てに流れる涙の

大河を目指す道すがら。

乾いた半端にならされた旅人たちの土道を行く

二人の美しい男女。



↓藤本多英

イ ああなんという、煩わしきことでしょう。

ズ わたくしは愛される身、たとえいかに手を

メ 焼かされることが待ち受けようとも 

ル 構いません。しかし、わたくしめのせいで

ダ あなたさまほどの位の高きお方があろうことか

  こんな田舎娘との単なる色恋沙汰によって

  国を離れねばならなくなるなんて。



↓重金属眼多流

ガ 何を血迷ったことをおっしゃるのやら。

ー あなたはいまや、ガラン区に咲く

ラ 高貴な高嶺の花ではありませんか。

ン あなたとひとつになれるのならば

ド いかなる困難にも立ち向かえましょう。

  まして国のひとつやふたつ捧げたところで

  なんの痛手となりましょう。


イ ああ恐ろしき運命とやらが厭わしい。

ズ そもそもあなた様たち名門ティオトの方々に

メ とって、わたくし共は単なる毒花。

ル そんな毒花にお近づきになったあなた様の

ダ 好奇心が悪いのです。

  ああ、いずれにしたって、この血が恨めしい。

  また違った血に生まれ、

  あなた様に愛され申したかった。


ガ いえお姫様。わたしはこれで幸せです。

ー あなた様ほどであるのなら、たとえ毒花と

ラ わかっていたとして、近づいて行かぬのなら

ン 男としては失格です。男は時に、理性より

ド 先に、好奇心を愛する生き物です。

  それほどにあなた様は、本能を燻ぶる魔性の

  生き物でございました。正しく女の粋。

  あなたの恨めしく思うそのガランの血。

  しかしまた、あなた様がガランの娘で

  ないのなら、わたしの愛はまた、別の娘へと

  向かっていたのかもしれません。  

  それほどあなたがたかつてのガラン村の血は、

  尊き美しき血統でございます。

  もし恨むとするならば、その血統に通常世界では

  結ばれることのできない我が身を恨むばかり。


イ ああいけないこと。

ズ またそんな、もったいない言葉をすぐにお吐き

メ なすって。もう少しは立場をわきまえて

ル ご覧なさいな。このままの調子では、

ダ あなた様がわからなくなってしまう。


ガ 何を申すやら、すべては事実ですぞ。

ー あなたこそ、立場をわきまえなさい。

ラ 断言いたします。

ン 世界中を旅しても

ド あなた以上の美しき花はどこにもなかった。



クピット乙女オトメン登場


↓キューピットッ勾玉

ク ぴちょんぴちょん。 

ピ 君たちはどこから来たのかい?

ッ どこへと向かっていくのかい?

ト ぴちょんぴちょん、

乙 ぴちょんぴちょん。


ガ おお、誰かと思えば恋のキューピット

ー ではないか。

ラ そなた、探し申したぞ。

ン そなたのその恋の矢で、

ド わたしとその美しい花を突き通しては

  くれまいか?


ク ぴちょんぴちょん。

ピ そんなことなら容易ではない。

ッ しかしそれになんの意味があるのやら。

ト もう君とその娘には、とっくの昔、

乙 恋の矢は刺さってもう抜けやしないよ。

女 ぴちょんぴちょん。


イ やはり恋の矢はもう抜けてはくれない

ズ ようですね。だったらもう、覚悟を決めて、

メ 恋の成就に命を賭するのみでございます。

ル あなた様、命の覚悟は出来ておられますか?


ガ おお、なんとも頼もしい、そのつもりで

ー 国を離れ、あなたとふたり、世界の果てを

ラ 目指してゆくのではありませんか。

ン さてクピットよ、この道を真っ直ぐ

ド 行くので間違いはなかろうか?


ク ええ、間違いありません。

ピ 君の思うままに、真っ直ぐ道を突っ切りさえ

ッ するなら。

ト 迷いなく、この美しい花を、

乙 迷いなく愛するというのならば。


ガ ああ、そんなことなら間違いない。

ー わたしのこの花への想いなら、

ラ 世界でもっとも混じりのない愛であると

ン 断言します。一寸の狂いなく、この方へと

ド 真っ直ぐに伸び届いているのですから。


イ ああキューピット、それならわたくしも、

ズ このかたに負けない想いを伸ばして

メ いるのです。この方と愛し合えるのならば、

ル たとえこの命すら惜しくはないので

ダ ございますもの。



ク ぴちょんぴちょん。

ピ それはたいそうな愛し合い方で。

ッ しかしそうそう、あなたがたの恋敵の登場

ト です。先程の口をついた愛の文言が、

乙 果たして本物なのであろうか。

女 ひとつ楽しみに見てみようじゃあないか。

登場人物


ガーランド(重金属眼多流)

…ティオト国の優れた兵士。


イズメルダ(藤本多英)

…かつてのガラン村の美女


クピット乙女オトメン(キューピットッ勾玉)

…キューピット

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