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この男と仕事をするようになって、5年ほど経つ。

惚れたきっかけなど、忘れた。

多分、どうしようもなくくだらない話に大笑いしていた男の笑顔が太陽のように可愛かったとか、デスクで眠る寝顔が年より若くて可愛かったとか、そんなところだろう。

男が惚れるきっかけほど怪しくて適当なものはない。


俺の名前は二宮智。

男の名前は仁科義之。

俺が41、男が35だ。


おっさん同士。

しかし友達の少ないらしい仁科は俺をよくパチンコに誘う。

仁科の行動パターンほどわかりやすいものはない。

起きて、朝食を抜いて、会社にきて、寝て、昼飯、仕事、寝る、整骨院、パチンコ、飲み屋、帰宅、寝る。


「そういえば」


半ば強引に連れられたパチンコ屋で、俺は深いため息をつくことになった。


「飲み屋、行かない?」


今この男が言っている飲み屋は、一か月前ほどに社長も含めた三人で言った女の子がたくさん相手をしてくれる飲み屋だ。仁科はそこで一人の女の子と仲良くなったのだが、一人で行っては恰好がつかないので一緒に行ってくれ、ということらしい。

いい加減にしてくれ、と言いかけた口がパチンコ台のリーチに負けて閉じられる。


「おごるから、な?」


「…嫌です」


「おねがい」


おっさんのお願いほど気持ち悪いものはないが、相手は惚れたおっさんで。

しかもリーチもきて気分はまぁまぁ。


「…少しなら」


「よし決まり、行こう」


「え」


「今から」


リーチを出した手が仁科に引かれ、立たされる。

隣をみれば、仁科の玉はいつの間にかゼロになっていた。


「ちょっと待った!俺まだ玉が…」


「そんな少ない玉じゃどうせすぐ終わるだろ、大丈夫、問題なし!」


この自己中なところが好きなんだろー、なんて言ってくる人間がいるなら言い返してやろう。

それだけは、絶対にない、と。




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