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プロローグ
『夜宵くん、私のこと守ってね。』
―それは小さな頃の約束。
『おう。俺が美雪ちゃんを守ってやるよ!!』
―それは俺が壊れる前の約束。
『約束だよ。』
『うん、約束だ。』
―二人はまだ幼くて。
『我が家に魔法の使えぬ出来損ないはいらん。』
―世界は俺に優しくなくて。
『君は家族に売られたんだよ。人体実験のモルモットとしてね。』
―そして俺は弱かった。
『みんなで生きて帰ろうね!!』
―俺を包んだ光は。
『夜宵、俺はまだ死にたくねぇよ。』
―刹那に散りゆき。
『生きて、私達の分も。』
―俺は独りになった。
『まさか、あのイカれた実験で生き残ったのか!?』
―いくら人を愛しても。
『死ね化け物!!』
―世界は俺を愛してはくれない。
『ねぇ夜宵さん、私達はなんの為に生まれてきたのかな?』
―人を無くした化け物は。
『俺が何をしたっていうんだよ!!』
―覚えてる。
『君はもはや人じゃない。我々と同じ悪魔だ。』
―幼きあの日の。
『夜宵くん、また明日ね!!』
―約束を。