6.特訓より寝たいです
私はシンシアに言われるがまま、何故か木剣を握らされていた。
恐らく訓練用の剣であり、鉄のものと比べると遙かに軽いんだと思う。
「私……特訓よりも寝たいかも……」
わざわざ転生してまで特訓なんてしたくなかった私は、シンシアに説得を試みてみる。
「いいじゃんさ! ナナちゃん、多分すごく強くなるよ!」
「いや……強くなるよりも寝たい」
「大丈夫大丈夫!」
人の話を聞いているのだろうか。
あまりの勢いに私はげっそりとしてしまっていて、もう頭が痛くなってきていた。
仕方がない。ここは軽く剣を振るってみて、やっぱり私には向いてなかった……といった感じで自然に離脱しよう。
「それじゃあナナちゃん! とりあえずこの人形に剣を当ててみてよ!」
そう言って、シンシアが人の形をした人形を目の前に設置する。
多分、彼女は普段からこれに剣を振るって特訓をしているのだろう。
剣の握り方なんて知らないからでたらめに握って、私は人形に向かって剣を構える。
「ちなみにこの人形は何重にも物理耐性バフが付与されているから、普通は壊れな——」
何かシンシアが言いかけた瞬間、私は軽く剣を振るった。
刹那。
轟音が響き渡り、衝撃波とともに人形を破壊し、それどころか地面すらも抉って近くにあった木々を真っ二つにした。
う〜ん、少し威力が高すぎた。
やっぱり身体強化系のバフが付与されていることもあって、ちょっとした攻撃だけで色々と破壊しちゃうな。
私はちらりとシンシアの方を見る。
「嘘……あの人形、勇者クラスの一撃でも破壊されないっていうのを売りにしてるくらいのやつなのに……」
勇者クラスの一撃……。
勇者ってのが良く分かってないんでけど、多分偉そうなのは分かる。
ということはあれだな。
あの人形が不良品だったってことなのだろう。
身体能力強化のバフがかかっているとはいえ、私の体は十歳の幼女なのだ。
さすがに普通は壊すことなんてできないだろう。
なんて思っていると、シンシアがぷるぷると体を震わせていた。
私が不思議に思っていると、急にこちらに走ってきて顔をぐっと近づけてきた。
「やっぱりナナちゃんは天才だよ! ふふふ……なかなか育てがいがあってテンシャンあがるなぁ!」
そう言いながら、シンシアは私の手を引いてどこかへ歩き出す。
「あの、どこに行くの?」
私が尋ねると、シンシアはふふんと鼻を鳴らして。
「村長に会いに行くんだよ! 挨拶がまだだったと思うし、それに村長ならナナちゃんを更に強くできそうな参考になる本とか持ってそうだしね!」
待って。参考になる本?
それってもしかしなくてもさ。
私、これから勉強をさせられるってこと?
うう……ひゅっ(あまりの絶望に呼吸が浅くなる)
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