18.いざ洞窟へ
しかしゴブリンなんて初めて見たなぁと思いながら死体を眺めていると、シンシアが不思議そうに聞いてくる。
「そんなにゴブリンが珍しいの?」
ふむ、ともなればやはりゴブリンはこの世界では珍しいものでもないのだろう。
まあここで見たことないなんて言ったら、私の素性が更に疑問に思われそうだから無難に回避しよう。
シンシアだったら悪いことにはならないだろうけど、そこから色々な人にバレてしまったら後が不安である。
もし国の偉い人が突然来て、「君のことはこれからしっかり研究させてもらう」なんて展開になってみろ。
それはもう終わりである。
恐らく悲惨な結末が待っているのは容易に想像できる。
「ええと、ゴブリンの素材って何かに使えないのかなって思って」
我ながら自然な回答である。
「うーん……ゴブリンは使えるところがないからな……あ、でも」
そう言って、からかうような視線をシンシアが向けてくる。
「魔族とか……それこそエルフの国では珍味だったりするらしいよ! 食べてみたら?」
「え、嫌すぎるそれ」
このゴブリンを食べる? これほぼ人型だよ?
もうそれはカニバリズムだよ。カニバリズムでカーニバルだよ。
「冗談だよ! さすがにキモいからさ!」
「よ、よかった」
もしこれで食べろだなんて言われたら、シンシアを放って先に村に帰るところだった。
危ない危ない。
「それよりも……ここからあと少しのはずだよ」
私は話を返るために、そんなことを言う。
実際、件の洞窟はもう少しのはずだった。
「緊張してきたね……オーガなんて狩ったことないからさ」
「私もだけどね」
正直、少しばかり緊張する。
私の転生特典があれば倒せるとは思っているけど、やはり実際に見てみないと分からないこともある。
「これで強くなって、村の平和も掴んで……頑張らないと!」
シンシアが両頬を叩いて気合いを入れる。
よし、私も頑張っていこう。
お互いに気合いを入れて進んでいると、大きな洞窟が見えてくる。
中は薄暗く、灯りなんてものはない。
「灯りは任せて! これくらいなら私が使える魔法でなんとかなる!」
そう言って、シンシアは人差し指を立てる。
「《光源》!」
刹那、シンシアの指の先からぷわぷわと光る綿毛のようなものが出てくる。
私たちの周りに浮かんで、周囲を照らしてくれている。
なるほど、こんな便利な魔法もあるのか。
私が興味深そうに見ていると、シンシアが恥ずかしそうに笑う。
「ワタシでも使えるからすごい魔法ではないんだけどね……!」
「すごく助かる。よし、それじゃあ行こっか」
「もちろん!」
灯りを頼りに、私たちは洞窟の奥へと進んでいく。
更新が遅くなってしまいましたが、無事完成しました。今は18日の午後25時……!毎日更新成功!
もう少し戦闘パートが続きますがよろしくお願いいたします。
明日も投稿頑張るぞ!