15.ならば特訓だ!
「しかしのぉ〜……うーん……」
意気揚々としている私の後ろで、ルイル様がずっと唸っている。
もしかして私には倒せないと思っているのだろうか。
まあ確かに国家が動くレベルの魔物だから、さぞかし強敵なのだろう。
しかし、生憎とこの私には怖い物はない。
何故なら、どんな困難が立ち塞がろうと乗り越えた先に最上の睡眠が待っているのなら何一つとして怖くないからだ。
なんて思っていると、苦笑しながらルイル様がいう。
「確かにお主なら倒せるかもしれないが、万が一失敗した時のことを考えておいた方がいいの」
「ま、まあ……そうかも」
とはいえ、ルイル様の言っていることはごもっともで私は黙ってしまう。
「それにの、この魔物は最低でもAランク以上の冒険者じゃないと戦闘許可は下りない。もしそれ以下のランクで挑み、万が一敗北して周辺に被害が出れば……」
「どうなるんです……?」
「ギルドは責任を取ってくれないし、まあ打ち首が妥当じゃな」
「ええ……こわ……」
なるほど……それなら何かしら保険を持っておいた方がいいかもしれない。
しかし一気にAランクに昇格するなんて、恐らくかなり無謀だろうし……。
私は悩んでいると、ふと思いつく。
「シンシアにAランクになってもらって、名前を借りたら完璧なのでは!?」
私の案に、ルイル様は頷く。
「まあ無理ではないの。それならギルドも文句は言わないじゃろうし」
しかし、と言って指を立てるルイル様。
「Aランク昇格任務はかなり過酷じゃぞ? なんせシンシアの実力がありながら、三年連続落ち続けておるからの」
三年連続か。うーん、確かに過酷かもしれない。
しかし保険をかけるという意味ではこれ以上ない選択視なのは確かだ。
陰からこそって私が一緒に任務に向かってサポートをしてもいいけど、それじゃあシンシアは納得しないだろうし。
ならば……あれしかないだろう。
最後の手段ではあるが、しかしこれしかない。
「シンシアと一緒に死ぬほど特訓するしかない!!」
ならば一緒に特訓して、更に強くなればいいだけである。
そんなことを言うと、ルイル様が苦笑する。
「まあお主がやるなら安心じゃな。きっとシンシアも喜ぶのじゃ」
「よーし! 気合い入れてくぞー! ありがとうございますルイル様!」
私が元気よくお礼を言うと、ルイル様がうんうんと頷く。
そして元気よく家を飛び出し、シンシアの家まで猛ダッシュをする。
しばらく走っていると、外で訓練をしているシンシアの姿が見えた。
彼女は猛ダッシュしてくる私に気がつき、こちらに手を振ってくる。
「おかえりナナちゃん——」
「シンシア! Aランク目指して一緒に特訓しよう!」
「え、ええ!?」
更新が遅くなりましたがどうにか更新できました。そして話数が一話ズレてしまっていることに気がつきました。恐ろしいミスだ……今日は間違っていないはずなので安心してください。
さて、引き続き応援いただけると嬉しいです!次の更新も頑張ります!