11.シンシアが心配です
なんてこの村は平和なんだと言った刹那、不審者からの声かけという情緒がおかしくなりそうな展開にビビっている私。
どうなってしまうんだと固まっていると、ガハハと笑う女の人の声が聞こえてくる。
「ビビりすぎじゃろお主! どっちかというと、お主が一人でぶらついてるのに妾の方がビビったぞ!」
「ルイル様……!」
振り返ると、そこにはルイル様の姿があった。
よかった……見知った人だった。
私は胸を撫で下ろして、大きく息を吐く。
「しかしどうしたんじゃ? 平和だからと言って、子ども一人でぶらつくのは感心しないぞ」
まあそれはごもっともな意見である。
何も考えずに家を出てしまったが、今の私は十歳くらいの少女なのだ。
少し反省しながら、私は笑う。
「実はシンシアがいなくて探しに出たんです。夜九時も回っているのに、さすがに心配で」
そう言うと、ルイル様は確かにのと頷く。
「この時間だとシンシアは村周辺の見回りじゃろうな。正直働き過ぎかと思うのじゃが、実際問題魔物の数が多いからの」
困った様子ぢ頭を掻くルイル様。
この時間もシンシアは村のために働いているのか。
それはもう働き過ぎじゃないだろうか。
だって普段も魔物の気配に気を巡らせていて、何かあったらすぐに出動。
夜も見回りなんてしていたらプライベートなんてないようなものだろう。
「シンシア一人は頑張りすぎじゃ……」
「そうなんじゃがの。この村に戦える人材はシンシアしかいないのじゃ」
苦い表情をするルイル様。
「妾も戦えたらいいのじゃが……シンシアから止められていての」
「止められている?」
「そうじゃ。村の長が不在になるのも問題だし、もし命を落としてしまったら村が大変なことになるとの。まあその通りなのじゃが、本当に申し訳なくて仕方がない」
なるほどな。
確かにシンシアの言うことも理解できる。
理解できるけど……心配なのには変わりない。
「私も手伝うからと言ってみます。シンシアには……休んでほしいし」
あまりのブラックさに、さすがの私も同情してしまった。
見回りや魔物退治を日替わりでやっていくだけでも負担はマシになるだろうし、今後はそのようにするよう伝えてみよう。
「お主……ほんと偉いのぉ! 妾もう涙が止まらないのじゃ!」
そしてルイル様に超高速で撫でられる私。
むふん。やっぱり褒められるのは悪い気はしないな。
なんたって私、超偉いからな!
おはようございます。お昼の更新です。異世界にもブラックな環境があると考えると恐ろしいですね。しかしシンシアはとても良い子で、私も見習わなければならない。
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