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魔力なしの冒険者、15年の時を経て最強になる~相棒と娘を連れて、弟子達と昔の仲間に会いに行く~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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決意

夜明け頃、俺は宿の部屋のベランダに出る。


そこからは朝日が昇って見え、身体は朝の冷たい空気を感じる。


昨夜は久々に仙気も使わず、ただひたすらに酒に溺れた。


この二日酔いの頭痛が、昨日の出来事の証だと思うから。


「……そうか、俺は役立たずではなかったのだな」


もちろん、薄々は気づいていた……いや、そう思うことで自分を守っていた。

もし本当に役立たずだと捨てられたら、その痛みに耐えられないと思ったから。


「しかし、そうではなかった。それところが、俺が弱いばかりに皆を悲しませてしまった」


俺が秘境から出れないとはいえ、無事を知らせる方法はいくらでもあった。

それこそ、出て行った弟子達に手紙だけでも渡せば良い。

それをしなかったのは、俺の弱さ故だ。


「……今からでも間に合うだろうか?」


出来るなら、他の仲間達にも会いたい。

謝罪をして、許されるならドランのように酒を交わしたい。

それが無理でも、どんな罵声でも浴びせていいから一目見て話がしたい。

そしてまた、友として友誼を結びたい。


「そのためには、色々とやらねばならないことが多い」


まずは銅級冒険者に上がり、国境を越えられるようにならねばならない。

無限ではないので、路銭の確保なども必要か。

カエデとカイル、ドランにも話を通さなくてはいかん。

そんなことを考えていると、寝ぼけたアルルがやってくる。


「お父さん……ベランダに出てどうしたの?」


「いや、少し涼んでいただけさ。すまんな、起こしてしまったか?」


「ううん、目が開いたらお父さんいなかったから……」


「そうか、そいつはすまなかったな」


彼らを探すとなると危険が多い。

ギルマスが情報を持ってないということは、何処か僻地にいるかもしれない。

下手すると大陸から出ていたり、ここから遠くにいるかもしれない。

そんなところに、アルルやサクヤを連れて行く……カエデとカイルに、二人を預けるべきだろうか?


「お父さん……」


「ん?」


アルルが、俺の服の端を掴んで不安そうに見上げてくる。


「ど、どっかいっちゃ……やだよぉ」


「すまん、不安にさせてしまったか。そうだな……少し遠くに行く必要があるかもしれない。アルルは、ついていきたいか?」


「わたし、ついていきたい!」


「ここなら安全だし、カエデやカイトもいるが……前も言ったが、もうここには戻ってこないかもしれない」


「お父さんと一緒! カエデお姉ちゃんやカイトお兄ちゃんもいるけど……お父さんと一緒がいい!」


そう言い、ぎゅっとしがみついてくる。

この子を拾った時とは状況が違う。

自我が芽生えて色々な知り合いが増えても尚、俺についていきたいというなら止めるのはダメだろう。


「わかった、なら一緒に行こう。アルルがいてくれると、俺も嬉しいしな」


「ほんと!? ……わたし、邪魔じゃない?」


「ああ、今のはアルルの意思を確かめただけさ」


すると、俺の尻が何かで叩かれる。

振り返ると、サクヤがムスッとした表情で座っていた。


「おいおい、何をむすっとしてる?」


「グルルー」


「サクヤちゃんが、自分を勝手に置いて行くなって……お父さんについて行くって」


「そうか、お前もついてきたいのか……仕方ないなぁ」


やれやれ、まだまだ親離れはできないらしい。

俺がわざとらしくニヤニヤすると、サクヤが歯をむき出した。


「アォン!」


「甘いな!」


「グルッ!?」


飛びかかってきたサクヤを部屋の中に放り投げる。

そのままベッドに行き、取っ組み合いを始めた。


「ハハッ! これではまだ独り立ちはさせられないか!」


「グルルッ……!」


「えへへ、サクヤちゃん嬉しそう」


そして一頻り遊ぶと、サクヤが俺の背中に寄りかかる。

そして、尻尾を俺の太ももにペチペチしてきた。


「ハフハフ……グルルッ」


「はいはい、悪かったよ。お前もついてくてくれたら嬉しいさ」


「アォン」


「えへへ……サクヤちゃん、それでいいって」


「では、予定通り三人で行くとするか」


最初はただ師匠の遺言通りに旅をし、サクヤを育てるつもりだった。


だが、 今は違う。


アルルを責任持って育て、仲間達に会うためにも冒険者ランクを上げていく。


そして、失った夢を叶えよう——白銀級冒険者になるという夢を。


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