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魔力なしの冒険者、15年の時を経て最強になる~相棒と娘を連れて、弟子達と昔の仲間に会いに行く~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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女の子は大変

再会から二日後、俺はカエデの部屋に呼び出されて説教されていた。


俺は大人しく正座し、その言葉を受け入れる。


ちなみにサクヤとアルルは、カイトの部屋にいるのでいない。


「兄さん?」


「はい、すみません」


最年長が最年少に叱られ、兄としての威厳はまるでなし。

しかし、それも仕方のないこと。


「全く……初日は大して気にならなかったけど、まさか今日も|《同じ服》を着てくるとは思わなかったわ」


「面目無い。一応、新品ではあるのだが」


「そういう問題じゃないと思うの。女の子なんだから、色々着たいに決まってるよ」


そう、俺が叱られているのはアルルの格好についてだ。

流石に洋服を買ってあるが、そのどれもが地味で似たような無地のだった。

そこを、カエデに突っ込まれてしまった。


「だが、俺は女の子の服などわからん。そもそも、あの秘境の里では皆がほぼ同じ格好だった」


「それはそうだけど……私も、こっちに来て苦労したし。ともかく、洋服を買いに行かないと」


「すまんが頼む」


「うん、任せて……兄さん、ありがとね」


「ん? なんの話だ?」


「私は一番下だったから妹が欲しかったんだ」


そう言い、頬をぽりぽりとかいた。

この子は姉や兄に可愛がられてきた。

だから、自分がして貰ったことをしてあげたいのかもしれない。


「礼を言うのは俺の方だ。アルルを妹と言ってくれて感謝する」


「そんなの当たり前じゃん。私達は血は繋がってなくても家族なんだから」


「ああ、そうだな」


「ほ、ほら! 早く行こ!」


照れ臭そうにしながら、部屋を出て行く。


俺は苦笑しつつも、後を追って部屋を出るのだった。



……そして、今に至るわけだが。


女子の買い物は大変だと言うことを思い出した。


追放される前にユリア達に連れられた時も、こんな感じだった気がする。


「兄さん、これは?」


「いいんじゃないか」


「もう! そればっかり!」


「い、いや、そう言われてもだな……」


何を見せられても同じようにしか見えん。

何せ元々が美少女だから、可愛い系を着たらなんでも似合うし。

すると、アルルが服を握りしめて俯いてしまう。


「お、お父さん、わたしと買い物してもつまらない……?」


「……兄さん?」


その目は兄を見る目ではなく、クズを見る目だった。

まずい! 積み上げた兄の威厳が消える気がする!


「そ、そんなことはないぞ! どれも可愛くて同じに見えてしまうんだ!」


「……可愛い?」


「あ、ああ! 可愛いさ!」


「えへへ」


そう言い、花が咲いたように笑う。

ふと、カエデと目がいうと『やればできるじゃん』と言われた気がした。

どうやら、兄の威厳はギリギリで守られたようだ。


「よ、よーし! それじゃ、それらを買っていこうか!」


「兄さん、待って」


出て行こうとした俺の肩を、カエデが触れて引き止める。

振り返ると、何やらにっこりしていた。


「ん? どうした? 服はこれだけあれば足りるだろう?」


「ここに、可愛い妹がいるんだけどなー」


「……買わせて頂きます」


「えへへ、兄さんありがと!」


「へいへい、現金なこって」


やれやれ、兄の威厳を保つのも大変だ。

その後、アルルと一緒にカエデの服を選ぶ。

それが終わる頃には、夕方になっていた。

アルルはうとうとしていたので、俺がたつこしている。

それもあり、買った物は後日宿に送ってもらうことになっていた。


「うーん、買った買った」


「こ、こんなに買ってもらっていいのかな?」


「いいのいいの、兄さんには趣味とかないし。どうせ、鍛錬や料理が趣味とかいうんだから」


「いや、俺にだって趣味くらい……」


しまった、他に何も浮かばん。

ずっと鍛錬と子育てしかしてこなかった。


「ごめんごめん。兄さんは、私達のために自分の時間を割いてくれたんだよね。これから新しい趣味とか見つけたらいいんじゃないかな?」


「趣味か……なあ、いい歳したおっさんが夢見ても良いと思うか?」


「私は全然良いと思うけどなー。なになに、何かあるの?」


そう言えば、この子達には俺の過去を話していない。

上の子たちの中には、知っている者もいるが。

俺は詳細を省き、実は白銀級冒険者を目指していたことを伝える。


「へぇ、兄さんがね。私達、自分達のことばかりで兄さんのこと考えてなかった……反省しなきゃ」


「何を言ってる。辛いこともあったが、お前達の明るさに救われた。だから、後は元気に過ごしてくれれば良い」


「相変わらず人のことばっかりだよねー。それじゃ、私達と競争だね」


「……そうなるのか。よし、負けないように頑張るとしよう」


先に巣立った子達も冒険者としてやっている者もいるだろう。

兄として、彼等に負けるわけにはいかない。

そんなことを考えていると、カエデが何やらもじもじする。


「どうした?」


「い、いや、アルルちゃん良いなーって……私も、小さい頃は兄さんに抱っこしてもらったなって」


「なんだ、今だってできるぞ? それくらいは鍛えてるつもりだ」


「恥ずかしいから嫌だし」


「がーん……」


これが親離れというやつか。

いや、喜ぶべきなのだが。


「へこんじゃった……じゃあ、手だけ繋いでよ」


「おっ、もちろんさ」


そうして夕日の中を手を繋いで歩く。


それは、とても幸せな時間だなと思うのだった。

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