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魔力なしの冒険者、15年の時を経て最強になる~相棒と娘を連れて、弟子達と昔の仲間に会いに行く~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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買い出し

 再開の挨拶を交わした後、目立ってしまうので場所を変えることにした。


 個室を貸してもらい、そこで再会を祝うことに。


と言うのも、二人からお願いをされたからだ。


「兄さん! 早く早く!」


「オレ達、ずっと楽しみにしてたんだぜ!」


「わかったから落ち着け」


二人には久々に俺の料理が食べたいと言われた。

孤児院での俺は料理人でもあり、彼らにご飯を食べさせていた。


「久々の兄さんの料理……じゅるり」


「女の子がじゅるりとか言うんじゃないよ」


「えへへ、ごめんなさい」


「このガサツ女と言いたいところだが、気持ちはわかるぜ。にいちゃんの飯は天下一品だからな」


「誰がガサツ女よ!?」


「イテッ!? そういうところだろよ!」


そして、二人が取っ組み合いを始めた。

懐かしもあり、微笑ましくもあるが、今はしっかりと長兄の仕事をせねば。


「二人とも、暴れる子には飯はないからな」


「に、兄さん! これは……!」


「酷いぜ!」


「まったく、アルルがびっくりしてるじゃないか。お前達、お兄さんとお姉さんになったのだろう?」


二人の視線が、俺の足元で隠れているアルルへと向けられる。

そのアルルは顔だけを覗かせ、二人を見つめた。


「お、お兄ちゃん、お姉ちゃん、喧嘩してるの……?」


「あわわっ!? し、してないわ! ねっ!? カイト!」


「あ、ああ! オレ達は仲良しだかんな!」


二人が肩を組んで仲良しアピールをする。

それでもまだ、アルルの目は懐疑的だった。


「ほんと?」


「「ほんとだ(よ)!」」


「えへへ、なら良かったです!」


どうやら、疑いは晴れたらしい。

アルルによって、平和が保たれた。

……やはり、下の子は上を成長させるか。


「さて、ここを貸し切ったは良いが……食材はどうするか」


「アォン!」


「ねえねえ、お父さん。サクヤちゃんが、あの倒したっていう牛鬼が食べたいって」


「おっと、それがあったな」


二人と再会したことで忘れていた。

あれなら、再会の祝いにもいいだろう。


「はっ!? 牛鬼倒したの!?」


「さ、流石は兄さん……それって、銅級ランクアップ試験の魔獣だよ」


「なに? そうだったのか……ふむ」


つまり、知らず識らずのうちに前の俺では成せなかったことをしたのか。

いや、もちろん試験を受けたわけではないが。


「くぅー! 俄然、楽しみだぜ!」


「そうね。あれは絶品だって、先輩方も言ってたし」


「そうか……では、お前達は買い出しに行ってくれるか? その間に肉の解体をしておこう」


「「はーい!!」」


この感じも、なんだか懐かしい。

俺が料理をしていると、二人が準備などを手伝ってくれたものだ。


「あと、アルルとサクヤを連れて屋台でも良いから何か食べさせてくれ」


「わかった!」


「それじゃ、兄さんの分も軽く買ってくるわ」


「ああ、よろしく頼む」


四人を見送り、俺は調理台で肉の解体を始めるのだった。



……お兄ちゃんとお姉ちゃんできちゃった。


どうしよう? 経験ないから、何が正解かわからない。


ずっと兄妹がいる人が羨ましかった。


だから、仲良くしたい……だけど、嫌われたくない。


「さてさて、アルルちゃん」


「な、何ですか?」


「固い固い、敬語なんかいらないよ」


「そうそう。オレらなんか、上の姉ちゃんや兄貴に敬語なんか使わねえもん」


「いや、アンタは少しは使いなさいよ。アルルちゃん、これの真似はダメだからね?」


「ああん? どういう意味だ?」


ど、どうしよう?

どっちの味方をすれば正解なんだろう?

うぅ……わからないよぉ。


「アォン!(アルルが困ってるわよ!)」


「サクヤ? ……あぁー、アルルちゃん、ごめんね。敬語もそうだけど、無理はしなくて良いからね」


「悪い悪い。オレ達も妹が出来てはしゃいじゃったな」


「アォン(全く、困った二人ね。アルル、この二人はいつもこんなだから大丈夫よ)」


そう言い、サクヤちゃんが尻尾で頭を撫でてくる。

そ、そうなんだ、これが普通の兄妹なのかな?


「い、いえ…… わたしも嬉しいです!」


「……抱きしめても良い?」


「ふぇ!? ……は、はい!」


そうして、ぎゅーと抱きしめられます。

安心するお父さんとは違って、なんだかくすぐったくなる気がした。


「可愛い……!」


「あぁ! ずりーぞ!」


「アンタは乱暴な男だからダメよ」


「ぐぬぬっ……!」


わ、わたしのせいで。

えっと、こういう時は……。


「アォン?(嫌じゃなければカイトにもやらせてあげたら?)」


「う、うん! カ、カイトお兄ちゃんもやりますか?」


「い、良いのか?」


「はい!」


そうして、カイトお兄ちゃんにもぎゅーと……されませんでした。

恐る恐る、そっと優しく抱きしめてくれます。


「ほせぇ……」


「ご、ごめんなさい」


「悪い悪い、謝ることじゃないんだ。ただ、大変だったんだろうなと。大丈夫だ、にいちゃんが食わせてくれるさ。オレらも、そうやって育ててくれた」


「そうよ、謝ることじゃないわ。兄さんってば、食べさせるのが好きだからね」


その目には実感がこもっていて、他の人みたいに同情するような感じはしない。

カエデお姉ちゃんに目を向けると、同じような表情を浮かべていた。


「……カエデお姉ちゃんも、カイトお兄ちゃんも大変だったの?」


「まあな。オレは親に捨てられて、残飯を食い漁っていた。でも親父……にいちゃんの師匠に拾われ、にいちゃんに育ててもらった。辛かったけど、新しい家族も出来たから今は幸せだぜ」


「私は気付いた時は親居なくて、一人ぼっちで生きてたわ。だけどカイトと同じように拾われて、一人ぼっちじゃなくなった……お陰で人といる幸せを感じられた」


「そうなんだ……私と同じ……わたしも幸せになれるかな?」


すると、二人が頭を優しく撫でてくる。


「にいちゃんに拾われたんだ、間違いないねえ」


「こいつのいう通りね。それになれるかな?じゃなくて、もうなってるのよ。兄さんといると、ポカポカしてこない?」


「します!」


お父さんと寝ると暖かい……でもそれは体以上に、心が暖かくなった。

頭を撫でられるとポカポカして安心する。

そっか……これが幸せって感情なんだ。


「なら、大丈夫……兄さんは優しいけど鈍感なところがあるから、思いっきり行ったほうがいいわ」


「そうそう。にいちゃんは、そういうとこは不器用だしな。したいことがあるなら、はっきり言った方がいいぜ」


「き、嫌われたりしない?」


「あり得ないわ。それどころか、喜んで泣いちゃうかも」


「ははっ! たしかに!」


「そうなんだ……が、頑張ってみる!」


すると、二人が頷く。


思いっきりかぁ……嫌われるのは怖いけど、したいことを言ってみようかな。


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