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私と妖精の物語  作者:


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15/18

つくねの磯辺焼き

「ひなた! 花火大会こそ浴衣着る!?」


 それは花火大会出発前日の朝の話だった。

 場所は居間にて時は朝食時。



「動きやすさ重視がいいのでは? 前回の神社のお祭りと同じように」

「情緒は?」

「それは私の分まで鈴先生が出してもろて……」


「えーっ!」

『観念してひなたさんも浴衣着ればいいのに』

「く、コロポックルまでそんな事を! ナンパ男が鈴先生に絡んてきたら私が戦うつもりでいるので!」


『ひなたさん、よく考えましょう。Tシャツとジーンズのシンプル装備と、そして浴衣の袖と帯! どちらが武器を隠し持つのに有利ですか!?』

「そ、それは確かに浴衣!」


「おっと、武器とは穏やかじゃないわね」

「拳と蹴りでなんとかするつもりだったのですが」

「そっちも穏やかじゃないわね」

「先生も夜、川に行く時にカッターで武装して行けって……」


「そ、それは最終手段よ! 普通は変なのと遭遇したら走って逃げるわ!」

「鈴先生、逃げるだけならやはりパンツスタイルですよね」


「あ、ねえ、予備の浴衣さ、金魚柄なのよ! かわいいのよ!」


「金魚……」


 お、ひなたが興味を示した!


「メダカ好きなら金魚もほら、かわいいお魚じゃない!?」

「仕方ないですね、そこまで言うなら」


 なんとかなった! やれやれ。

 せっかくの花火大会だし、浴衣を着せたいだけなのになかなか抵抗されたわね。


『花火楽しみですねー』

「「ねー!!」」



 朝食はつくねの磯辺焼きにした。

 これの材料は鶏挽き肉、ネギ、粒コーン、溶き卵、酒、醤油、片栗粉、焼き海苔、ごま油である。


 下準備にネギはみじん切りしておき、メインの肉とかをボウルに入れてよくかき混ぜ、海苔に大さじ1強のせ、三角形に折って平らにする。


 フライパンにごま油を入れ、先程海苔を巻いたものを並べて中火で焼く、ジリジリ焼ける音がしたら弱火にし、途中でひっくり返し七分くらい焼く。

 プリっと弾力が出たら器に盛って完成!


 それと付け合せはきゅうりとカニカマの酢の物で、白すりごまと酢と砂糖と醤油で合わせ酢を作ってきゅうりと細く切ったカニカマにかける。


 もちろんカニカマではなく本物のカニ缶でも使った方が美味しいだろうけどここは節約。



『ところで今日の朝ご飯も美味しいですね』

「ありがとう」

「磯辺焼きってそそりますよね。カニカマの酢の物も夏に良きですし」


「ほんとはカニ缶が残ってれば本物使いたかったけど、編集部からのお中元のカニ缶は尽きたし」


「カニ缶貰えるってすごいですね」

「最初は健康を気使ってくれたつもりで野菜ジュースばかりだったけど、あれわりと糖分あるから、違うのにしてって言っちゃった」

「ほー、私も編集部から何か貰えるくらい偉くなりたいなぁ」


「そうだね~、がんばれ~」

「うう、頑張ります!」



 そんな感じでひなたを励ましつつ、皆と朝食をとった。


 ところで今回の花火大会はお盆にあるのだけど、つまり夏の終わりあたりで季節的にはもう秋。


 リーフは夏の終わりまでって言ってたけど、ここんとこかなり残暑は厳しいから、もう少しはここにいられるのかな?


 はぐっ! もぐもぐもぐ。


 リーフは無邪気に、かつ、美味しそうに磯部焼きにかぶりついているし、私の作る食事が好きならば、涼しくなる秋まで延長とか言うかもね?


 最近いつの間にか、蝉の鳴き声が変わってきたような気がする。


 夏の最初の頃にはとにかくジージーうるさい名前も知らない蝉。

 それから夏の終わり頃、朝と夕にはカナカナカナカナというひぐらしにーーーー。


 扇風機に吹かれた蚊取り線香の煙の行方を視線で追いかけて、私は網戸の向こう側の空を見上げた。

 青く綺麗な空には、ウロコ雲が広がっていた。
















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― 新着の感想 ―
[気になる点] 武器というよりか、大きな音のでるアラーム(小学生が持つやつ)も良いんですよ。それなりに警備の人もいるでしょうから!それより、つくねの中に粒コーンですか!その方が気になりました!
[一言] 浴衣か~ 和装なら暗器に幾つか心当たりはあるんですけどね~ 簪に組紐あたりなら合法的に装備可能だし、少々浮くけど三味線持ってたら三味線の弦やバチなんかも・・・ まぁこの中なら京元さん贔屓で…
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