急襲
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「来るかね。」
落ち着いた様子でハチ公を囲むベンチに座っている。
「上の予想通りなら。」
スマホに向かってそう答えた。
ハチ公の周囲数十メートルは白い囲いで覆われている。
「お上は人間より虚民を選んだ訳ね。」
「対処するのはオレらなんすけどね。」
不満げにハチ公の周りをウロウロしている。
「ま、体張るのが仕事だからね。」
「おはよう」
白い物体が囲いをすり抜けて現れた。
「始めるか。」
軽快な足取りで三人に向かってくる。
「イヌ?」
驚いた。
「封印担当だよ。」
当然のように言った。
「でも、いいのか?お前、てか、二人は知ってたんすか?」
イヌを見て、他の二人を見た。モフモフしている。
「生きるためだよ。実際、人間側にいる奴は大勢いる。温室育ちには分からないだろうが。」
「本任務の護衛対象だ。不満か?」
自分の頭を拳で小突きながらうめいた。
「オレ、バカなんで、分かんないっす」
「不思議っつーか、理解出来ねーっつうか」
「オレたち、これから虚民を殺すんすよね」
「うん。」
退屈そうにあくびをする。
「虚民を守るために?」
「ワン。」
「平気なのかよ、同族が目の前で殺されるんだぞ。それに」
その目は恐怖をたたえていた。
「オレたち、いらねーじゃん...」
「お前さぁ」
ベンチから立つと、両肩を掴んでベンチに座らせた。自身はその場でしゃがみ
「バカはお前だけじゃないさ。それにな」
子供をあやすように言った。
「バカは考え事なんてしないの。しちゃあいけないの。仕事をこなせ。」
感心するように頷くと、イヌはハチ公に対峙した。
「時間だよ。ハチ公から目を離さないで。」
三人はハチ公を囲んだ。
数秒の沈黙。
イヌの方を見ようとするが、目が動かない。三人は全神経を集中してハチ公を鑑賞させられているようだ。鼻の高さや耳の形、ありとあらゆる造形が頭に刻み込まれていく。
突然、消失マジックのようにハチ公が消えた。
「はい、終わり。」
イヌは後ろ足で耳を掻いている。
「へー、これが封印かぁ。あっという間だったな。どんなカラクリだ?」
イヌの表情が変わった。その便器の底を見るような目に、三人は寒気をおぼえた。
「君たちが知る必要はないよ。しかし、本当に何も」
「跳べ!」
叫びながら一人を両手で突き飛ばした。反作用を利用してもう一人に体当たりをした。直後、ジェット機のような高音が耳をつんざく。三人は立ち上がると、先ほどまでいた場所を見た。
「ありがとう」
「お前に命救われるれるとはな...助かったぜ」
そこには、粘土に型を押し当てたような円形の穴が開いていた。そのまま立っていれば脳天を貫かれていただろう。そうだ、イヌは、イヌは?
「おいおい...」
「...」
「オレたち、どうすればいいんすか」
赤く、広がっていく。白い毛並みが、後頭部を中心に赤く染まっていく。イヌは墓石のように無表情で、動かない。
「撤退。」
三人は感じていた。
「したいっすけどね。」
真上から何か来る。
「残るは三人と一匹。少し休む。」
「これほどとは、テング殿。お疲れさまでした。」
「後は任せろ!」
最後までお読みいただきありがとうございました。
さて前回に続き登場人物に次回予告をしてもらいます。はい、どうぞ。
「...どうぞって、え?だって、え?なあ。」「そうっすよ。今後の展開まだ決まってないんじゃ、予告のしようがないっす。登場人物に対する作者ハラスメントもいい加減にしてほしいっす。」「なぁ。俺らに名前くれよ!今回はさすがに違和感あったぞ。」「同意っす!なんすかあの”一人は”とか”三人は”って!誰が誰だか分からないっすよ!」「...」「お前もなんか言えよ!」「そうっすよ!無口なキャラでも喋らないと傷跡残せないっすよ!」「...」
はい。ありがとうございました。次回もお楽しみに!