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新たなる希望

 俺達は小部屋に案内され、そこでレキスターシャ公に先程の出来事を話した。


 レキスターシャ公は苦い顔を作り嘆息する。


「やはり、無理でしたか・・・」


 だが、それ程の落胆はしていない様子だ。

 それはそうだろう。

 実の父親の説得を聞かない人間に、王女とはいえ、それ程親しくもないアティの言葉をすんなり聞くはずがないからな。


 とはいえだ。

 これで手詰まり。

 説得という方法ではアターシャ嬢は動かない。


 これではどうしようもないが、これは王様からの正式な依頼。

 それがなくとも、セリシオが関わっている以上、見過ごすことは出来ない。


 ではこの先どうすればよいのだろう。


「殺っちゃいますか?」


 なんの躊躇もなくステラはそう言った。


 俺はギクっとしたが、確かに、それが一番建設的な意見だ。


 その辺り、ステラはリアリストな。


 全ての元凶はセリシオなのだから、奴を消してしまえばいい。

 元々セリシオは殺めなければならない相手であったし。


 しかし、この意見にレキスターシャ公は苦々しい表情で唸った。


「何度も考えました。考えましたとも。ですが、それをすればアターシャが悲しむ。あの惚れようではそれこそ後を追ってしまうかもしれない。そう思うと、どうしても・・・」


「・・・ああ」


 そうだな。

 一時の悲しみならば我慢してもらうしかないと思うが、あの盲目的な惚れようではその可能性はあり得る。


 彼女はセリシオの騙されているだけだ。

 さっきは『もう勝手にしろ』と思ったが、実際にはそうもいかないだろう。


「じゃあどうするの? レキスターシャ公。貴方はあの困り者の言うことに耐えることが出来るの?」


「う、ぐ。それは」


 チッ、親馬鹿め。


 解っていたことだが、こうなると俺達って無力だな。


 戦闘していた方がよっぽど楽だよ。


 レキスターシャ公がおもむろに顔を上げた。


「・・・一つ、思いついたことがあるのです」


「一体何ですか?」


 この状況を打開できる策があるのなら、是非聞いてみたい。


「“真実の鳥”というものを知っていますか?」


 なんだそれは?


寡聞(かぶん)ながら、知りません」


「うむ、鳥と言っても本物の鳥ではない。アイテムだ」


「アイテム、ですか?」


 やっぱり知らない。


「それはそのアイテムを向けた者の本心を代弁すると言われるアイテムだ。もし、このアイテムがあれば、セリシオの悍ましい心の内が判るだろう」


「なんと!」


 それは正に今、最も必要なアイテムだ!


「如何にアターシャがあの男を心底愛しているとしても、あの悪魔の本心を知って、まだ愛情を向ける程愚かではあるまい」


 いや、あんな奴に愛情を向ける事態が愚かなのですがそれは。

 流石にこの人の前では言わないが。


「凄いじゃないの! そんな便利な物があるなら早く言ってよね!」


 アティがはしゃぎながら目を輝かせる。

 確かにこれがあれば問題は一発で解決だ。

 だというのに、レキスターシャ公は暗い。


「・・・ですが、このアイテムが何処にあるのか、分からないのです」


「はい?」


 アティはきょとんとした。


 俺も「マジか」と、小さく声に出てしまった。


「ちょ、ちょっと待ってよ。何処にあるとも知れないアイテムを持って来いって言うの?」


 レキスターシャ公はコクリと頷く。


 いや、頷かれてもな。


「もうそんな藁にも縋る物に頼らなければならない程、追い込まれているのです。なんとかしてこのアイテムが手に入れば、娘の目も覚めるはず」


「何か手掛かりはないの?」


「このアイテムの伝承はこのレキスターシャ領のみに伝わっているものです。ですので、この領にあるものと思われるのですが」


「この広大な領の中から何処にあるかも分からないアイテムを探せっていうの!?」


「・・・もう、それしか」


 グッと、アティは拳を握る。


 そう、ここでレキスターシャ公を責めても仕方がない。


「分かりました」


「レオダス!」


 アティは弾けたように俺を見る。


「我々も出来る限りをします」


「おお、お頼み申す!!」


 俺はコクリと頷いた。


 何処にあるかも分からない“真実の鳥”を見つけ出す。


 こりゃ高難度クエストだぜ。

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