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ギルドに寄り道

「ギルドに?」


 俺は聞き返した。


「一応さ、何かあっちの方で依頼があったら受けてもいいかなって」


 俺は困ったふうに苦笑する。


「おいおい、こっちは国家の一大事なんだぞ?」


「いや、勿論そっちを優先するけどさ。あっちの領で時間を持て余すかもしれないじゃん? あたしも冒険者として、何か依頼を受けてないとなんか落ち着かないというかさ」


「そんなものか?」


 俺がそう言うと、ステラはチッチッチと舌を鳴らしながら指を振る。


「レオダスも冒険者としては成り立てだからね。あたしの気持ちが解るにはもうちょっとかかるかなー」


 む、確かに冒険者としてはステラの方が先輩だが。


「勿論、アターシャさんをなんとかする方を優先するってば。そんなに急がない依頼が何かあるかもしれないじゃん」


「うーん」


 俺は頭をかいた。


「分かった。一応寄ってみるか」


「イエーイ」


 まあ、俺も新米とはいえ、冒険者だからな。


*********


「ようこそ冒険者ギルドへ」


 受付のお姉さんは笑顔で対応した。


 このお姉さん。

 俺達が冒険者になった時に対応してくれた人だ。


「ああ、レオダスさんですか。今日はどのクエストを受けられますか?」


 そう言ってお姉さんはクエストボードに手を掲げる。


「レキスターシャ領方面にある依頼はないかな?」


「レキスターシャ?」


 お姉さんは不思議そうに首を傾げる。


「ちょっとそっちに行く用事があってね」


 まさか国家の危機とは言えまい。


「それですと、レキスターシャ支部で受けたほうがいいと思います」


「あ、やっぱそうですか」


 ステラは「まあ、そうだよね」と納得した表情で頷く。


「あ、あたしもレオダスと同じパーティーになるけど申請要らないよね?」


「その手続きは要りませんが、一応証明書を見せてもらっていいですか?」


「あい」


 ステラはカバンからカードを取り出した。


「はい、ステラさんですね」


 そう言うと、お姉さんは上に視線を移し、何かを思い出そうとしている様子だったが、ピンと指を立てた。


「もしかして“野良猫のステラ”さん、ですか?」


「あー、そんな風に呼ばれてるかな」


「なんだその野良猫って?」


 どこか照れるようにステラは苦笑する。


「その、あたしってどこか特定のパーティーに入っているわけじゃなくて、手伝いや即席で入ることはあっても、基本ソロでやってたから、いつの間にか野良猫って言われ始めたんだ」


 なるほど。

 確かに、この子、どこか猫っぽい。


「わー、若干二十歳でAランクに昇進したって噂のステラさんですか。隣町を拠点にしてるって聞きましたけど、こっちにいたんですね」


「まあ、たまたま」


「そういえば、レオダスさんを探してるって前にも会いましたね。あの時はレオダスさんの名前が出ちゃってたので、ゆっくり話す機会がなかったですけど」


「ま、まあ、あたしのことはいいよ。それよりレキスターシャにも支部が在るんだ?」


「ええ、在りますよ」


「じゃあ、そっちで受けるよ」


「そうした方がいいですね」


「あの、ちょっといいかな?」


 俺は気になっていることを聞いた。


「なんでしょう?」


「冒険者じゃない人間に手伝ってもらってもいいのかな?」


 アトスとクレアのことだ。


 この二人が参加してもいいものだろうか?


「うーん。ちょっと待って下さい。ギルマスに確認します」


 そう言うとお姉さんは後ろの部屋に下がっていった。


 そして、しばらくするとギルマスを連れて戻って来る、


「お話は伺いました。冒険者でない人間がクエストに参加してもよいか、ですな?」


「そうなんだ。無理だろうか?」


「現地でのトラブルなどであれば、協力してもようですが、出来ればやめてもらいたいですな」


「そう、か」


 二人にも協力してもらおうと思ったんだが。


「そのお二人でしょうか?」


 ギルマスは後ろにいるアトスとクレアを見た。


「もし、初めから協力するというのなら、どうでしょう、そのお二人も冒険者になっては」


「わ、私達が冒険者ですか!?」


 クレアが驚いて自分を指した。


 まさか勇者と聖女が冒険者になるなど考えもしていなかったんだろう。


 確かにそうなのだが、王女であるアティもなってしまっているのだから、今更という気もするが。


「あの、教会に所属している人間でもなれるんでしょうか?」


 そうだ。

 クレアは教会に所属していて聖女として勇者パーティーに加わっている。

 どうなんだその辺り?


「こちらの方は問題ありません。が、そっちの少年は、その、大丈夫ですか? 冒険者に年齢制限は特にないのですが、心配です」


 そう言ってギルマスはアトスを見る。


 当然だな。


 子供を冒険者にして死んでしまっては、ギルドも困るだろう。


「彼なら心配ない。なんなら、Aランクの人間と戦わせてもいい。俺が保証する」


「ふむ、あの高難度の依頼を無事達成したレオダスさんが推薦するのなら、こちらとしては構いませんが」


 アトスは小さく笑った。


「はは、僕が冒険者か」


 アトスはこれまで勇者として生きてきたからな。

 何かの職業に就くなど初めてだ。


「じゃあ、みんなで冒険者になるか!」


「うん」


「はい」


 こうして俺達全員が冒険者になることと相成った。

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