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異世界からの来訪者7

「アークデーモンにレッサーデーモンねぇ」


 ひとしきり俺の話を聞いた後に、スティーグは納得したと頷く。


「一応聞いておくが、そいつらに理性はあるのか?」


「いや、どうだろう。判らない。だが、種族同士では争わないようだ。村にいる悪魔同士で戦っていないようだからな」


「コミニュケーションは取れそうか?」


「無理に決まってるでしょ! 相手は悪魔なのよ!!」


 アティがそう噛みつくと、スティーグは肩をすくめる。


「異種族間でも対話が出来るならそれで解決することもあるだろう?」


 俺は意外に思った。


 なんでも力でねじ伏せるタイプの人間かと思ったが、そうではないらしい。


 それとも、こいつの世界では悪魔とも仲良くやれているのか?

 そもそも悪魔と呼ばれる存在がいるかは分からないが。


 俺は質問に答える。


「アティの言う通り、言葉は通じない。人間を見れば、多分問答無用で襲ってくる。悪魔とはそういう存在だ」


「そうか。それじゃあぶっ殺すか」


 やっぱり物騒じゃないか。


「それで、今すぐ行動するか?」


 スティーグの質問に、俺は顎に手を当てた。


「ここは慎重に行動するべきかと思うんだが、どう思うアトス?」


 俺がアトスに尋ねると、アトスも「そうだね」と俺に賛成した。


「なんだ。やっぱり勇者がリーダーなんだな」


 スティーグは俺とアトスのやり取りを見て、アトスがリーダーと認識したようだ。


 まあ、俺が主導で喋っていたから、俺がリーダーと思っていたんだろう。


「ああ、そうだよ」


 アトスが頷くと、スティーグは面白そうに見た。


「勇者だからか?」


「・・・何が言いたい?」


「いや、なんでも」


 スティーグはそう言って腕を首の後ろに回し、どうでもよさそうな態度を取る。


 含みがあるな。

 面白くない。


「慎重にってことだな。具体的には?」


 スティーグに尋ねられて、俺は空を見上げた。


「もうすぐ日が沈む。悪魔は夜になると活性化するんだ。早朝に行動を起こしたほうがいいと思う」


「そうか。それじゃあここで野宿なのか?」


 悪魔がうろつく村以外には人の密集地は周りにない。


 セリシオは大の野宿嫌いだったが、この場合はやむを得ないだろう。


「そのつもりだ」


 そう答えると、スティーグは難しい顔をした。


 なんだ、こいつも野宿を嫌がる口か?


「問題がないか?」


「何が?」


「食事だ。俺の分の食事はあるのか?」


 ああ、そういうことか。


 確かに予定外に一人増えたからな。


「あ、それは大丈夫です。多めに持ってきていますから」


 クレアがそういうと、スティーグは大いに喜んだ。


「おお、それは何より。さ、食べようぜ!」


 今日一番の笑顔だな。

 こいつ食べるの好きなのか?


「言っておくがそれでもそんなに量はないぞ?」


「別に大食漢てわけじゃない。こっちの世界の料理がどんなのか知りたいだけだ」


「料理好きなんですか?」


「ああ」


 クレアが尋ねると、スティーグはそう答えた。


*********


「・・・なんだこの食材は?」


 スティーグは茫然自失といった顔を作り、用意していた食材を前にそう言った。


「何か不満でもありますか?」


「干し肉に固そうなパンをメインにした物が見えるんだが?」


「ええ、旅の保存食ですから」


 俺はクレアとスティーグのやり取りを見ていて、ちょっとイラっとした。


「おい。贅沢言うなよ。あんたはいきなり入ってきたんだからな」


「それは分かっているが、お前らそのまま食おうとしているのか?」


「そのつもりですけど」


「アホかーーーー!!」


 これまでふざけた態度をとることがほとんだだったスティーグがいきなりキレた。


「てめら、食材を何だと思っていやがる。貸せ、俺が作る!」


「あ、ちょっと」


 スティーグは食材と、持ってきた調理器具を勝手に取り出すと、食事の準備を進め始めた。


「お、おい。大丈夫なのか? クレアに任せた方が・・・」


「そのまま食おうとしていただろうが、任せるもなにもあるか!」


「ちょっと大丈夫なんでしょうね! あたし、食べられなくなるのは嫌なんだけど!?」


 アティが噛みつくが、スティーグはすべて無視し、調理を始めてしまった。


 だ、大丈夫なのかこれ?

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