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賢者サイド 転がり落ちるていくセリシオ

 賢者サイド


 ステラが出て行ってから、クレアは自室に閉じこもってしまいました。


 私とアルトスが何を言っても応えようとはしません。


 私は妥協して頬を叩いた件は不問にするとまで言ったのですが、それでも彼女は動かなかった。


 理解できません。


 私に暴力を振るったにも関わらず、それを許すというのに、何故頑なに部屋から出てこないのでしょう?


 アトスは自分を鍛え直すと言って、ずっと素振りをしています。


 意味が分かりません。


 そんな暇などない筈です。


 私の名誉の為に、我々は躍進しなくてはならないというのに、こんな所で足踏みなど。


 奴らを待っていてはいつまで経っても事態は改善してされません。


 私は冒険者ギルドにやってくると、ランクの高い冒険者を勧誘すべく、声を掛けました。


 ところが、


「悪いけど断る」


「なっ」


 馬鹿な。


 私が勇者の名を使い勧誘しているというのに、今話している男性の冒険者はその誘いを蹴った。


 冒険者は粗野な荒くれ者が多いので、なるべく礼儀正しそうな人間に声を掛けたというのに、帰ってきたのは断りの言葉でした。


「理解出来ていますか? 勇者パーティーですよ? 世界を救う勇者パーティーの一員となれるのです。それが解りませんか?」


 私は馬鹿でも解るように丁寧に話してやりました。

 ですが、目の前の冒険者は再び首を横に振ります。


「・・・何故ですか?」


 私が尋ねると、彼は私を侮蔑の目で見た。


 目を見開き後ろに下がりました。


 何故初めて会った男にこの様な視線を浴びせられなければならない?


「あんたらステラを追放したんだってな?」


「っっつ!?」


 何故それを?

 いえ、考えるまでもありません。

 あの女が喋ったのです。


「あいつは優秀な冒険者だぞ? なんで追放したんだ?」


「か、彼女は我々を侮辱したのです。不和をもたらす人間を仲間にしておくわけにはいかないでしょう?」


「あいつが侮辱? そんな奴じゃないよ。痛い所を突かれて逆ギレしたんじゃないのか?」


「ば、馬鹿馬鹿しい! そんなわけが」


「あいつは思ったことを真っ直ぐ言うからな。真摯な気持ちのある奴ならそれで済むんだ。まさかそれだけで追放したのか?」


 私は奥歯を噛んだ。


 こ、こんな男に何が解るというのでしょう。


 私は首を横に振った。


「どうやらあなたは我々に相応しくはないようです。残念でしたね。栄光を逃しましたよ?」


「そうかい。ああ、噂はギルド全体に広がっているぞ。ここで仲間を募るつもりなら諦めた方がいい」


「なっ!」


 馬鹿な。


 あの女はそれ程影響力のある人物だったのですか?


 確かに優秀だとは聞いていましたが、何度かクエストを共にした限り、そうとも思えなかった。


 何故ならレオダスですら務まった役割が務まらなかったのですから。


 ああ、なるほど、容姿ですか。


 確かにあの女は童顔ながら可愛らしいと言ってよかったでしょう。

 私の趣味ではありませんが。


 男は何か納得のいったような顔をする。


 不快ですね。


 その理解したといった顔。


「なんで追放されたのか気になっていたが、納得した。あいつも運がない」


「・・・なんですって?」


 私が険を強めると、男は肩をすくめる。


「なんでもない。さ、行ってくれ」


「後悔なさい・・・」


 私はそう言い残しその場を去った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] どんどん孤立する屑賢者 [一言] ざまあみろかね、屑賢者 自分を盲信してるだけに痛すぎ、 ステラの言ったことを、何も考えようとしないしな。 最終的に堕ちるとこまで堕ちるかな?こいつは。…
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